円安って何?

2013年01月21日 00:07

アゴラこども版の第1弾「デフレって何?」は大好評で、先週のアクセス第2位になりました。そこで今週は円安についてかんがえてみましょう。

まず円安とはなんでしょうか。外国為替市場というところでは、いつも円とドルなどの外国のお金が交換されています。これを為替(かわせ)とよびます。これは100円玉を10円玉10枚と両替するのと同じで、ようするに円とドルを両替しているのです。ただ100円玉はいつでも10円玉10枚と両替してもらえますが、1ドルが何円と両替してもらえるかはその時によってちがうので、この取引で円が安くなることを円安といいます。

よくテレビで「1ドル=89円から90円になって円安です」などというので、「あれ?90円に値上がりしたんじゃないの?」と思うかもしれませんが、これは1円=1/89ドルが1/90ドルに下がったのです。でもそんなふうに分数で書くとややこしいので、ひっくり返してドル中心に書いているのです。

上の図は1ドルが何円かをグラフにしたもので、上のほうがドル高=円安です。今は1ドル=90円ぐらいですが、これは3ヶ月で10円も上がったことになります。10円というとみなさんのおこづかいより少ないみたいですが、割合にすると12.5%で、定期預金の金利の200年分ぐらいです。すごいですね。でも預金とちがって下がるかもしれないので、よい子はドルを買ったりしてはいけません。

円が安くなると、輸入品の値段は上がります。たとえばバナナ1ふさが2ドルで輸入されているとすると、去年は2×80=160円だったのが、今は2×90=180円になります。それなのに政府の人や会社の人が喜んでいるのはどうしてでしょうか?

それは日本から輸出しやすくなるからです。たとえば日本で100万円の自動車は、去年は100万÷80=1万2500ドルでしたが、今は100万÷90=1万1000ドルになるので、アメリカで買う人が増えるでしょう。つまり円安で普通の人は損するのですが、輸出している大きな会社は得するのです。それでも景気がよくなると、そのうちいいことがあるだろうということで、お父さんも喜んでいるわけです。

でも1ドル=100円をこえると、たとえばガソリンの値段が去年の1リットル150円から200円ぐらいになるでしょう。石油や天然ガスも2割以上ねあがりするので、電気代も2割ぐらい上がるかもしれません。じつは日本は円で輸出している額よりドルで輸入している額のほうが大きいので、ドル高(円安)になると損するのです。

だから政府のえらい人は「1ドル=100円ぐらいで止まってほしい」といっていますが、そうつごうよく止まるとはかぎりません。政府の人は「お札を出している日本銀行がなまけていたから円高になった」といっていますが、日銀が何もしてないのに円は下がりました。だから円が下がりすぎたときも日銀が止められるとはかぎりません。

円が下がってドルが上がると、輸入品の値上げでインフレになるでしょう。日銀は、あした「2%のインフレにする」という目標を発表するそうですが、そんなインフレになると、金利も上がって政府の借金がふえます。国債(国の借金)は毎年160兆円ぐらい発行されるので、金利が2%上がると3兆2000億円も返すお金がふえます。これは全国のこどものもらう児童手当より多いんですよ。

つまり円安はいいことばかりではなく、悪いこともおきるのですが、政府の人は「悪いことがおきたら日銀がなんとかしてくれるだろう」と思っているようです。今まで「日銀はバカだ」といっていた人たちが、いざとなったら日銀に助けてもらえるなんてつごうのいい話ですね。よい子はそういうわがままをいってはいけません。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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