未来ある若者は決して中国とは関与すべきでない

2013年02月10日 16:53

矢澤豊氏の中國人を愛せなければ、尖閣は守れないを先程拝読。


私の側から言わせて戴ければ誤解がある様に思う。

但し、誤解を与えてしまったのは本来別のテーマとして取り上げるべき、「中国海軍による海自護衛艦へのレーダー照射事件」と「未来ある若者は決して中国とは関与すべきでない」を無理やり一つに纏めてしまった事に起因する。

本来丁寧に説明すべき後者を末尾二行で完了というのは矢張り乱暴であったと思う。従って、指摘戴いた矢澤豊氏にはこの場を借りてお礼申し上げると共に、今更ながらであるが今回このテーマで書いてみる事にした次第である。

先ず第一に、中国は日本の隣国であると共に13億人の人口を有し日本に取って通商上の最大のパートナーである。従って、中国の将来は日本に大きな影響を与える事は確実である。

「転ばぬ先の杖」という諺が示す様に、不都合な事実であっても将来発生するであろう事態を予測し、予めそれに備える事は当然必要である。

しかしながら、この業務はどちらかというと高度に専門的な分野であり、一握りの有能な専門家によって行われるべき筋合いのものであると推測する。

一方、私が対象にしているのは、「日本に留まってもジリビン先細りだし、中国語でも勉強して中国で職を得るか」と考えている様な、何処にでもいる(大多数の)若者である。

それでは、大多数の若者がなぜ中国に関与してはいけないのであろうか?

中国市場が日本の若者に取って「ハイリスク ローリターン」の市場に成り下がってしまったという理由が全てであると思う。

判り易くいえば、気苦労が多い割にちっとも良い思いが出来ないという事である。更にいえば、第二の天安門事件が勃発し、着の身着のまま帰国する可能性も高い。

更に、その後も政情が安定せず、潰しの効かない年齢になって日本で新たに職を探すとか、ベトナム、ミャンマー、或いはインドで職を探すような展開もあり得る。

その可能性が高いのであれば、中国は捨てて、初めから日本国内やそういった国々で職を得るべき、というのが私の考えである。

今一つの理由は、日本経済のあるべき姿から観てどうか?という判断である。話はやや脱線するが、本論説明のため必要なのでご寛恕願いたい。

余り知られていないが、世界経済を大雑把に俯瞰すると下記の様になる。

アメリカは人口3億人でGDPは15兆ドル。一人当たりのGDPは5万ドル。

日本は人口1.2億人でGDPは5.8兆ドル。一人当たりのGDPはアメリカ同様約5万ドル。

EUはドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペインで人口3億人。GDPは12兆ドル。一人当たり4万ドル。

中国はGDP世界第二位といっても、人口13億人でGDPは7.3兆ドル。一人当たり6000ドル弱で日本の十分の一程度。

インドは12億人でGDPは1.7兆ドル。一人当たり約1500ドル弱。中国の三分の一以下であり、今後の急激な発展が期待可能と思う。

ここで判る事は、人口が1億人超の大国で一人当たりのGDP5万ドルを達成しているのは全世界でアメリカと日本のみという事である。

要は、日本経済はダメだダメだと酷評される事が多いが、実は結構頑張っている。逆にいえば、既に充分高くなっているので、これ以上伸ばそうとするのであれば人材の浪費は許されないという事になる。

財政再建のためにはGDPと、海外事業からの送金(移転収支)の継続的な拡大が不可欠となる。当然、これから世に出る若者に対する期待も大きい。

GDP=「現役世代人口」×「一人当たりのGDP」なので、GDP拡大のためには下記三つの施策が考えられる。

先ず思い浮かぶのは外国人労働者の受け入れ。長所としては即効性がある事。短所としては国民にアレルギーがある事。現実性は低いと思う。

第二は、政府が厚めの「子育て支援」を実施し女性に沢山子供を産んで貰うというもの。これは絶対やるべきであるが、如何せん効果が出るのは20年以上後になる。

最後は、多少荒療治であっても生産性の低い職場から生産性の高い職場への人員のシフト。勿論、シフトした日から効果が出る。

家電業界が向かうべきは「4Kテレビ」の開発ではなくホワイトカラーのリストラでは? で説明した様に、現在「追い出し部屋」で飼い殺し状態の社員を解雇すれば、生きるため何処かで仕事を開始する。少なくとも現在の生産性ゼロから脱出出来る。

別に「追い出し部屋」所属でなくても本社で遊んでいるホワイトカラーのリストラは必須と思う。

上記は現役世代の生産性向上施策であるが、これから世に出る若者についても同様考える必要がある。

若者が中国市場に関与すれば近い将来家電業界の「追い出し部屋」所属状態に陥る可能性が高い。これを回避すべく国内にきちんとした職を求めるべきと判断するのである。

これが難しければ、将来が期待出来るベトナム、ミャンマー、インド市場などに職を求め移転収支拡大に貢献すべきと思う。

将来有望な若者を、中国市場の様な将来の期待出来ない市場で無駄使いすべきではない。本人に取っても日本経済に取っても良くない

最後に、この記事主張の前提となる「中国の地政学的リスクの高まり」について「尖閣」を例に説明したい。

先ずは、何故「尖閣」で、かくも執拗に日本に対しパンチを出し続けるかである。

中国共産党が汚職と腐敗で国民の支持を失い、国民の不満と怒りのマグマを「尖閣」を利用して日本に向けない事には暴発する危険がある。或いは、国民をグリップするためには国民の日本への怒りを喚起するしかない所まで追い込まれているのではないかと思う。

その背景にあるのは、中国共産党が隠そうとしても最早隠しきれない中国経済の実質破綻、それに伴う共産党による統制力の低下である。

経済が悪くなったので共産党が統制力を失ったのか? 或いは、共産党が統制力を失ったから経済が悪くなったのか? 私には判断出来ない。しかしながら、中国がデフレスパイラルに陥っている事は確実である。

矢張り、中国共産党による一党独裁という体制では一人当りのGDP6000ドルが限界であり、経済がピークとなれば海外からの投資も引き揚げとなる。結果、高度成長時の真逆の現象が発生する。中国の現体制は「賞味期限切れ」といっても良いかも知れない。

中国共産党幹部の海外脱出は、まるで沈む船から鼠が一目散に逃げ出す光景と似ている。

中国は古来より「良い鉄は釘に使わず」の通り、「文官」優先の国である。しかしながら、文官である共産党幹部が脱出してしまっては、結果、「軍」のコントロールが出来ず、実質「軍」に対して管理者不在の状況になりつつあるのではないか?

繰り返しとなるが、中国の状況を的確に把握し将来起こるであろう事を想定し対策する事は極めて重要である。しかしながら、そういう仕事に特に興味を持たない普通の若者であれば「ハイリスク ローリーターン」である中国市場を回避し、国内で職を得るか、これが難しければ将来性のある国(市場)を目指すべきと思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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