小額投資非課税制度(日本版ISA)の罠! --- 土居 亮規

2013年03月01日 20:02

2014年1月から導入される予定の『小額投資非課税制度(通称、日本版ISA)』についてです。さて、名称からも分かるように制度の内容としましては「年間100万円、期間五年間の投資から得られた配当・譲渡益が非課税になりますよ!」という内容です。


この制度のメリットは

個人投資家からすれば「最大500万円分の投資が非課税になるんだから美味しい!」といったメリットがあります。一方、政府としては「預金で流動しない資金をマーケットに出すと同時に、ある程度マーケット変動を緩和させよう(急沸暴を減らそう)という目論見があります。

そもそも、日本の金融資産というのは極端なまでに預金に偏っており、資産流動性が非常に鈍いです。経済を人間とするならお金は血液です。血液が一箇所に固まり続けて流れが悪い(=預金)と体(=日本経済)はどうなるか……分かりますよね? それを解消する試みの一つとして今回の小額投資非課税制度(日本版ISA)を導入しようとしてるわけです。非課税と聞けば投資を始める人も出てくるでしょうしね(儲かるかどうかは別にして)。

デメリットは

もちろんありますよ、デメリット。冒頭タイトルにもありますがこの制度、罠としか思えないような細かい規定がいろいろあります。

1:商品の入れ替えが不可能(!)

上記でもちょっと書きましたが、マーケットの変動を緩和させたいというのが年金機構や政府の意向です。これが全てではないのでしょうが、「長期投資を促進するという名目で非課税口座制度をつくって、マーケットに血液を流し込むと同時に安定性も求めよう!」という考えがあるのは明白です。

例えばこの規則、この非課税口座で購入している株式が一年後3倍の価格になったとしても利益確定できない(=含み利益のまま。)ということです。ま、厳密には売却できるのですが、その場合売却した簿価分の枠は利用できなくなる(つまり、年間100万を越えた部分にはキッチリ税金がかかってくる)という素敵なシステムなわけです。

2:専用口座は1つのみ

この制度を適応する口座は一人につき1口座しか保有できず、口座を移管するには開設後4年経過する必要があります。この制度、出遅れれば運用パフォーマンスに影響するけど、かといって飛びついてその後に今の取引先よりも有利(手数料が安いとか)なところが出てきたら……と考えると、どうでしょう? 最終的には個々の方の判断になるんですが、待つのも地獄、飛び込むのも地獄ですよね。

3:軽減税率の終了

「これだよこれ……」と思ってる方も多いのではないでしょうか? はい。ついにきましたね。

知らない方のために軽く解説しますが、ものすごく大雑把に言えば日本は株式や投資信託等の収益に10%の税金がかかるわけです。が、本来はこれの税率は20%です。「日本経済が冷え込んでるので投資を推進するために税率を安くしよう!」という試みから始まった制度が延長されつづけ、今日まで続いていたわけですね(思い切って0%にしないあた
りが日本人の中途半端な国民性を示していますが)。

で、今回。「非課税枠を作るから、税率を元に戻しちゃおう! そうすれば税収も増えるしこの制度も広められる!」というおめでたいとしかいいようのない思考の果てにこの軽減税率を終了しようとしているわけです。合掌。

はっきりいっておきますが、このままいけば制度施行前に株価が暴落する可能性すらあります。誰だって「アナタの含み利益、今確定したら10%の税金ですむけど来月になったら20%もってかれちゃうよ?」

となれば売りますよね? 短期的な株価というのはファンダメンタル(企業の実質価値)に関係なく需要と供給で決まりますので(それは恐慌などで証明されてます)、暴落は必至でしょう。マーケットに100%はありませんが、この目論見はかなり高いでしょうね。

唯一の救いはまだ施行まで約1年の時間があることです(2013年2月現在)。この間に官僚や経団連等からこの辺りに突込みが入って、寝ぼけた政治家の方々の目を覚ましていただける可能性もあるので無理に投売りをする必要はまだないということですね。しかし……株式を保有している方は少し、今後の動向に気を配る事をお勧めいたします。

土居 亮規
ビジネスライブラリーバタフライ CEO

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