メタンハイドレートは日本を救うか? --- 岡本 裕明

2013年03月14日 03:00

愛知県沖で政府の関係機関が実験を続けていた「燃える氷」とも称されるメタンハイドレートの取り出しに成功しました。これは数年前から急速に盛り上がっていたもので日本の周りの海底にあるこれらの資源の取り出しに成功すれば日本の長期にわたる資源確保に繋がることで教科書の「資源がない日本」という表現が変わる大きなきっかけになるものです。


このメタンハイドレートは天然ガスの一種でアメリカで最近話題になっているシェールガスも天然ガスです。更にロシアのプーチン大統領が北方領土交渉を進めようと考えている裏側にはロシアの天然ガスを日本に長期的に安定供給したいと考えています。また、3月12日の日経の夕刊には中央アジア諸国が天然ガスを増産するという記事が出ています。もともとのバックグラウンドはロシアの中国向けの天然ガスに関して従前より価格の折り合いが悪く、中国は天然ガス確保とロシアとの交渉を有利に図るため、中央アジア諸国でのガス開発に望むものだと思われます。

こう書いてみると世界中で天然ガスの話題沸騰という感じがします。少なくともシェールガス革命が天然ガスの市場を大きく変えたのですが、日本の技術が将来的に「メタンハイドレート革命」に繋がるかもしれないのです。

天然ガスが日本でここまで話題になっている理由は原発事故にその理由を見出すことが出来ます。日本中の原発が止まったことで電力会社はその代替手段として液化天然ガスなどに大きく依存します。天然ガスは石炭などに比べてコストは高いもののCO2など環境には石炭よりは良いとされています。ちなみに原発を止めたドイツは石炭が主流ですので正直、何故原発を止める代償で環境を悪化させるのか、ということも考えられなくもありません。

その液化天然ガスですが、日本は世界で最大の消費国でありますが、その輸入価格の決定方式が不思議というか、実に立ち遅れた手法を今でも使っているのです。それは原油価格を基準として一定の係数をかけるという方式です。一昔前は原油と天然ガスの価格はリンクしていました。理由は需給が似ていたからでしょう。

もうひとつの理由に天然ガスは基本的には貯められないということがあります。北米ではガスパイプラインで供給しますが北米から外には液化天然ガスという形にしない限り輸出不可能であるのです。ロシアも同じでロシアからヨーロッパへのパイプラインはありますがシベリアから日本へはパイプがないので液化する以外に方法がないのであります。ですから天然ガスに世界共通の価格がありません。

北米の天然ガスはシェールガス革命で価格は下落の一途。2008年ごろに比べて三分の一程度になり今では北米のガス会社ではガスのコックを締めて供給調整をしなくてはいけない状態にあります。これが天然ガス市場の現状で豊富な供給量の天然ガスと比較的需給が安定している石油の価格がリンクしているということ自体がおかしなことなのです。

日本でメタンハイドレートがどれだけ安く、商業ベースに乗る価格で供給されるかによって世界の天然ガス、はたまた資源市場は大きく揺さぶられるでしょう。これが世界経済や政治、それに伴う勢力地図に大きな影響が出る可能性は否定できません。ほとんどの人にとってメタンハイドレートが意味するものなど考えたことがないと思いますが、日本の技術と努力次第ではびっくりするようなことが起きると言っても過言ではないのであります。

ところでメタンハイドレートを「ハイドレード」と書いているケースが続出していますが、Methane Hydrateですのでハイドレートが正解です。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年3月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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