ライブドア事件で日本が失ったもの

2013年03月28日 12:12

証券取引法違反の罪で実刑判決が確定し、服役していた堀江貴文・元ライブドア社長が昨日仮釈放になった。ネットにも関連する記事が数多く溢れているが属人的な話が殆どの様である。


そういった一過性の話で終わらす事なく、今回の堀江氏仮釈放を機にライブドア事件を反省し、これによって日本が何を失ったのか?を理解し、今後の政策運営に活かすべき、というのがこのエントリーを書く事にした動機である。

先ずは、「ライブドア事件とは一体何だったんだろう?」という今更ながらの疑問である。

幸い、今朝のこのブロゴス記事がピンポイントに判り易く説明してくれている。

ホリエモンが仮釈放されたが、なぜホリエモンが逮捕されて、日興コーディアル証券の経営幹部は逮捕されなかったのか。

粉飾決算だとかいって、検察が大々的にライブドア、ホリエモン狙い撃ちで、強制捜査をしたわけだが、その当時、新興市場のベンチャー企業に過ぎない、ライブドアの50億円不正会計どころか、東証1部の証券会社が187億円にのぼる不正会計を行っていた。しかしその証券会社の経営幹部が、ホリエモンのように逮捕されることも収監されることもない。

社会的な影響度で考えれば、新興市場ではなく東証1部企業、しかも株式を取り扱う証券会社が、不正会計を行っていたなんて、言語道断、許されない犯罪行為のはずなのに、上場廃止されることもなければ、経営幹部が逮捕されることもなかった。しかし日興の1/4程度の不正会計なのに、ライブドア社長は逮捕されるという、極めて不公平・不可思議、恣意的といえる刑罰が行われた。

法の手続きとしては、今回の堀江氏仮釈放でもってライブドア事件は終結かも知れない。しかしながら、国民、特にこれから世に出ようとする若者がこういった国の遣り口に漠然とした疑問や不安を抱く限り、事件は終わらない様にも思う。

それでは、ライブドア事件で日本が失ったものとは具体的に何だろうか?

先ず第一は、本来日本経済を牽引すべき若者の「アニマルスピリット」だと思う。

苦労して起業し、上場まで漕ぎ着けたとしても検察に一旦眼を付けられたら刑事責任を問われ実刑判決からは逃れられない。

それであれば、大企業に職を得、波乱のない人生を歩む方が良いと若者が考えるのは理に叶っている。

ライブドア事件の少し前には「ナスダックジャパン」や「マザーズ」といった新興株式市場を誕生させ、IPOのハードルを下げ、国策として起業を支援していたと記憶している。

従って、ライブドア事件は検察が暴走して起業の流れに冷水を掛けたといえるのではないか?

第二は、アベノミクスへの影響である。

私は、株価が上がってもてはやされているアベノミクスを頭ごなしに否定する積りは毛頭ない。しかしながら、「財政出動」は財源の制約から期間限定と割り切るべきであろう。

一方、「金融緩和」は結局は資金が銀行に豚積みとなり製造業の設備投資には中々回らないと思う。

矢張り、期待が出来るのは解雇規制を緩和しての雇用の流動化であったり、規制を緩和して既得権者が独り占めしている業務、サービスを広く一般に開放する事での日本経済の活性化だと考えている。

しかしながら、ライブドア事件の影響で日本の若者が規制緩和にビジネスチャンスを見付け、起業に向けて動くよりも既得権を握って離そうとしない古い企業に職を求めているとしたら、結果、残念だが「笛吹けど踊らず」状態となり、アベノミクスは腰砕けとなってしまうのでは?と危惧するのである。

最後はあるべき「資金」の循環と「経営」の交代である。

私などには真相を解明する手立てはないが、巷間、堀江氏は日本放送買収によりフジテレビ支配目論んだ事で「虎の尾」を踏んだと言われている。

楽天によるTBS買収も同様の話である。

仮に、堀江氏がフジテレビ、三木谷氏がTBSを買収出来ていたら日本のテレビ業界は今とは随分と違った未来志向のサービスになっていたに違いない。

同様、柔軟な発想を持ち企業やサービスの目利きが出来る堀江氏が健在であったならば、「融資」、「投資」、「企業買収」によってどれ程の新規上場企業を誕生させた事かと溜息が出る(いうまでもないが、新規上場企業の誕生は新規雇用を創出する)。

定年を延長して、それでなくても体力の弱っている既存企業に社員の面倒を65才まで押し付けるのは矢張り問題と思う。それよりも、こういう形で受け皿となる新規雇用を創出すべきであろう。

好むと好まざるとにかかわらず、日本はこれからも「資本主義」でやって行くしか選択肢はない。そして、「資本主義」の駆動力は「欲望」である。

勿論、「欲望」には負の側面があるのは事実である。検察を含め「税」に寄生し稼ぐ必要がない人達に取っては眉を顰めたくなるような事案もあるに違いない。

判り易く言えば、検察の「正義」とは相容れないという事態である。

しかしながら、今の日本の状況を考えれば、「フリーゾーン」を設定し、若者に最大限自由を与えて、取り締まりは極力自制するぐらいの事を勇気をもって実行する必要があるのでは?

そして、問題が出て来ればライブドア事件の時の様にいきなり冷水を浴びせるのではなく、徐々に規制を強めれば良いのではないだろうか?

山口 巌

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑