日銀のインフレ目標は「2015年に5%」

池田 信夫

きょうの国会で日銀の黒田総裁は「消費税が3%ポイント引き上げられた場合、物価には2%程度影響が出る」と答弁した。2015年には5%ポイント上がり、この影響は3%程度と推定されている。黒田氏は「増税の効果を除いて2年後に2%の物価上昇」が目標だと明言したので、彼は2015年に5%の物価上昇を約束したことになる。


小黒一正氏も指摘するように、1997年に消費税率が2%ポイント上がったときも、コアCPIは2%上がっているが、5%のインフレというのは、石油危機以来なかったものだ。クルーグマンは4%の物価上昇を約束する政策をcommitment to be irresponsibleと表現したが、世界の中銀総裁がここまでirresponsibleな目標を公言したのは史上初だろう。

マーケットも、増税はすでに織り込んでいる。次の図はBloombergの出している予想インフレ率(物価連動国債のブレークイーブン・インフレ率)で、昨年の初めに野田内閣が消費税の増税を閣議決定したとき0.5%ポイントぐらい上がったが、その後の国会情勢で増税が不透明になってからやや下がり、自民党政権になってから上がっている。

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それでも1.37%というのは5%のインフレの1/3しか織り込んでいないので、黒田発言で予想インフレ率は上がるかもしれない。本当にマーケットが5%のインフレを織り込むと、長期金利は5%を超え、イタリアやポルトガル並みになる可能性もある。黒田氏はそれで日本経済がよくなると思っているのだろうか。

4月から始まるアゴラ経済塾では、このようにますます先行きが不透明になる日本経済のゆくえをみなさんと考えたい。