ブログで分かるブレイクする経営者~例・岩瀬大輔氏

2013年04月14日 07:00

ライフネットの岩瀬さんのブログが面白いですね。
新社会人向けに書いたエントリーが好評で調子…いや、勢いに乗ったようで、3月末から半月ばかりで8本と怒涛のエントリー。そのどれもが面白い。皮切りになった「新社会人の君へ」ではバツイチの過去までカミングアウトする出血サービスぶりだ。


かつては新聞記者、今は広報コンサルとして経営者の価値観を知る参考にブログを読むが、なぜその人がマスコミで取り上げられてブレイクするのか大体分かる。あるいは読んだ時点で無名であっても、「この人はいずれメディアで引っ張りだこになるな」と評価できる。「ブログで分かるブレイクする社長、しない社長」のような法則があるとすれば、岩瀬大輔氏はブレイクするパターンを踏襲している。

20130414岩瀬ブログ

●岩瀬大輔のここがスゴイ
他方、ゼロから起業して億単位の売上げを伸ばすまでに成長する経営者の方々でも、自分が記者なら「死んでも取材したくない」と辟易するブログが多々ある。ビジネスではそれなりに成功しているのに(私なんかの何百倍も商才はある)、ブログでは社会の耳目を多く集める発信には失敗している。岩瀬氏とは何が違うのか。ブログやSNSが普及し、誰もが発信者となる中、「私も岩瀬さんのようにカッコよく発信したい」と憧れるベンチャー経営者や起業志望のビジネスパーソン、大学生も多いだろう。そういう人は岩瀬氏が3月28日に書いた「昭和50年代生まれのハートをつかむ」を読んでいただきたい。

「新社会人の君へ」が4,000を超える「いいね!」を集めたのに対し(す、すげえ…汗)、人気アニメ「ドラゴンボール」(DB)を話題にした自社アンケートの狙いを語った、件のエントリーの「いいね!」はその1割にも満たない。みんな、せっかく岩瀬さんが手の内を明かしたのに見過ごしているな~(苦笑)。「DB」で「生保加入を勧めたいキャラクター」という突拍子もないアンケートを発表した理由は何か。岩瀬氏はこう書いている。

ライフネットの契約者は、50%が30代、24%が20代。平均年齢は以前も書いたが36.7歳。したがって、昭和50年代生まれの彼らが、いや、我らが懐かしがる話題を低コストで発信…(略)…企業認知と、ある種の好感度アップに繋がることを期待…(略)…普通の生命保険の話題では、なかなか皆さん関心を持って頂けないのですよ…

つまり、1. ターゲットを選定⇒2. そのターゲットに刺さる話題探し⇒3. 切り口をまとめてコンテンツ化⇒4. 情報発信……という編集過程で情報を作っている。これは「PR型調査」の作り方ではあるが、岩瀬氏は自分のブログでも同様のプロセスを意識しているはず。“世の中ごと”と自分の専門・得意分野と掛け合わせるスキルが高いからこそ「クリーンヒット」、時には「ホームラン」を打てるのだと思う。

●岩瀬氏の発信力は誰も真似できないのか?
とはいえ岩瀬氏は「開成→東大→在学中に司法試験合格→ハーバードMBA→BCG等、複数企業→ベンチャー起業→上場」 。その経歴は、安藤ミッフィーの「慶応→集英社」なんてもんじゃない(笑)。イケメンで、天が二物どころか百物くらい与えた人なので全ての真似は無理(羨ましいぞ)。アゴラに投稿している「1人1票」の記事なんか、さすが司法試験合格者だと思います。全国紙の編集委員でも書ける人少ないんじゃないか。はっきりいって「天才」です。ただし我ら「凡才」でも真似できる部分はあるはず。

あくまで「私見」だが、岩瀬氏と違い、本業がそれなりにうまく行っているのに「ブレイクしない経営者」とブログはどこがダメなのか?一言で言えば社会性の有無だと思う。“アメブロ芸能人”のように、口述感覚で段落替えを頻繁にしているような駄文は論外として、そこそこの長さを書き込んでいたり、頻繁に更新したりしていても、自社商品や自分の著書、イベントの宣伝ばかりの人はダメですね。

例えば、あなたがビジネスパーソン向けの独特のコーチングノウハウで、ちょっと成功したコンサルタントだとしよう。顧客も順調に増え自信も少しある。で、ノウハウの細かい効用ばかりを一生懸命にブログで書く。顧客対象の中間管理職にだけは刺さるだろう。しかし、あなたのことを知らない人が読んだときに興味をもたれなくなってしまう。結果としてニッチな市場での発信にとどまってしまうのだ。

●広く興味を持たせるには?
しかしコーチングの手法はオジサン管理職だけにニーズがあるとは限らない。たとえば野球を知っていれば、WBCの敗因の象徴とされた準決勝の走塁ミスを取り上げる。様々なスポーツ報道を引用しながら、敗因に挙げられた「行けたら行け」というサインの何がまずかったのか? という話を<あなたならではの視点>で一般の職場に置き換えて論評してみる。すると、管理職予備軍の若いビジネスパーソンや野球ファンにも興味を持たれるだろうし、ひょっとしたら指導法に悩む高校野球の新人監督があなたの講義を聞きに来るかもしれない。ちょっとした新規市場開拓だ。さらに社会性のあるお話をユニークな視点で発信し続ければ、メディアに注目してもらえる可能性も。なぜなら記者やディレクターは社会性や公益性を重視して記事や番組をつくるからだ。

ほかにも、私なりの分析があるのだが、そこは企業秘密(笑)コンサルや講演、本で書けたらいいな、と出し惜しみして申し訳ないんですが(>_<) あなたがブレイクしたいのなら、上場企業最強の“若手経営者ブロガー”である岩瀬氏の発信内容を研究することをお薦めします。 (お断り・岩瀬氏とは共通の知人はいるが、面識はないので利害関係がないことを書き置く) 新田 哲史
Q branch
メディアストラテジスト/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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