高校生は海外がお嫌い? --- 岡本 裕明

アゴラ

高校は脱ゆとり教育の一環としてこの4月から「英語よる英語授業」が始まりました。取り組みとしては結構だと思います。もっとも、教える側も大変だと思いますが。


ところで、日本の若者が英語を学ばなくてはいけない、というモチベーションは十分にあるのでしょうか? 文部省の調査によると高校生の58%は留学したくないと答え、その理由が言葉の壁、経済的理由、生活や友人の不安が挙げられています。

言葉の壁というのは慣れないから壁になるのでしょう。英語を使うのはクラスルームだけだとすればこんなにつまらないものはないし、映画や外国ドラマを見たぐらいでは外国に行きたいとは思わないでしょう。

ここバンクーバーは英語教育のメッカといわれています。街中には多くの中小英語学校があり、そこには韓国やブラジル、メキシコ人らに交じって英語を勉強する日本の若者が多数います。彼らは母国語禁止という制約の中、学校が終わればさまざまな出身国の人たちと喫茶店でだべったり、スポーツバーで盛り上がったり、或いはルームシェアのお相手は自国外の人ということが当たり前のようになっています。

私が知る限り、自分を非日本語環境に置くとびっくりするほど英語能力は高まります。実は私も同様の経験をしているのですが、理由のひとつに英語で考える癖ができ、会話のピンポンをしようと努力することかと思います。日本のテレビ番組で外国人が日本人に英語で話しかけるとしばし間が空いたあと、ブロークンなイングリッシュが出てくるケースが間々見られます。これは一対一の会話ならばどうにか相手も聞こうと努力しますが、集団での会話になると100%置いていかれます。外国に来た日本の若者はそのもどかしさを感じてどうにか会話に交じろうと努力する結果、頭の中で日本語に置き換えず、英語で受けたものを英語で返す癖が出来てくるようになるのです。よく言われますが英語で寝言を言えば一人前というのはそういうこともあるのでしょう。

文部省のアンケートの留学したくない理由の経済的理由というのは寂しい限りです。高校生ですから当然、親のポケットを気遣っての話ではないかと思います。ならばこういうのはどうでしょうか? サマーキャンプなどで外国の高校生を日本に招き、交流を通じて外国人との壁をなくし、リアルの会話をする、というアイディアです。外国の若者を数週間単位のサマーキャンプで日本につれてくるプログラムは二国間の文化交流プログラムなどに補助金を乗せ、民間企業がプログラムを作り上げれば達成可能な気はします。

日本の高校生はカリキュラムの変更に伴い、突然英語漬けになることに抵抗を示している人も多いのではないでしょうか? 受験勉強に役立たないと拒否をする生徒や学習塾も当然出てくるでしょう。それに対する構造的対策は取れているのでしょうか?

英語は上から目線で押し付けるものではなく、自己啓発的に興味を持たなければ決してうまくなることはありません。使う必然性を感じるようなお膳立てが最も効果的であるような気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょうか。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年4月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。