「仕事の収入」も「投資の利益」もリスクを取った価値提供への見返り --- 内藤 忍

アゴラ

お陰様で毎日目が回るくらい忙しい日々が続いています。1月から自分で仕事を始める前に一番不安だったことは「仕事がまったくなくなってしまったらどうしよう?」だったのですが、現時点では杞憂に終わったようです。

自分が一生懸命働くことと同時に、心がけているのは「お金にも働いてもらうこと」です。


個人投資家というのは「お金の経営者」と考えることができます。お金という社員を雇っている社長なのです。社員に命令を出して、資産運用をしてもらう。誰になにをしてもらうか決めるのが、資産配分(アセットアロケーション)です。

自分が持っている金融資産を預貯金に置いてある人は、社員に仕事をしないで待機していろと命令している社長と同じです。仕事をしても成果が上がらないといから、意図的に待機させているのなら問題はありません。しかし、何をしてよいかわからないから仕方なく預貯金というのであれば、お金の経営者としては「社長失格」です。

仕事と投資には共通点がたくさんあります。例えば、仕事が自分の価値を周囲に提供することによって、その感謝の対価として報酬をもらう。それと同じように、投資も自分のお金が有意義に社会の成長に活用されれば、その見返りとしてリターンを受け取ることができます。

額に汗して働くのは尊いが、投資で儲けるのは汚いことと思っている人が、未だにいます。私はどちらも等価だと思います。なぜなら、

どちらもリスクを取って、社会に価値を提供することによってリターンを得ている点では同じだからです。

じゃあ、デイトレーダーは社会に何の価値を提供しているのかと言われそうですが、彼らはマーケットに流動性という価値を提供し、その見返りに(確実ではありませんが)リターンを得ているのです。

仕事をすることと投資をすることは、等価で同じくらい社会にとって重要。だから、働き方を模索するのと同じくらいのエネルギーを使って、自分の持っているお金という資産をどう働かせるかを考えるべきなのです。

ビジネスの成功も投資の成功も、リターンの源泉は、どちらも社会に価値提供することに対しての社会からの感謝。そこには貴賤はありません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年4月16日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


アゴラではこの4月に内藤忍氏も講師をつとめる「連続金融セミナー」を開催します。内藤氏の回は、4月17日(水)「資産運用の『常道』と後悔しない海外投資講座」になります。一回だけの受講も可能。興味のある方はふるってご参加ください。