ネット選挙運動解禁に時間がかかったのはなぜ?

山田 肇

4月19日の参議院本会議で、ネット選挙運動を解禁する公職選挙法の改正が成立する。めでたい限りである。成立に向けて力を注いできた各党議員の努力に敬意を表す。ただ問題は、どうしてこんなに時間を要したかである。

悪の元凶は公職選挙法の構成にある。公職選挙法には、認められる文書図画の種類が列挙され、それ以外は利用できない、いわゆるポジティブリスト方式である。ちなみに認められているのは、ポスター、立札、ちょうちん、看板、たすき、胸章及び腕章。「ちょうちん」とは古色蒼然過ぎて笑ってしまう。


ネット利用はこのリストにない。そこで1996年に、新党さきがけが自治省に対して質問を出した。これに対して、自治省は、ホームページは「文書図画」にあたるが、リストにないので利用できないと回答した。この自治省の回答が、その後、15年以上ネット利用を妨げてきた。

「店舗法」に開業できる「店舗」は肉屋、八百屋、乾物屋……に限ると列挙され、スーパーマーケットについて照会したら、スーパーマーケットは「店舗」にあたるが、リストになので開業できないと回答されたような状況である。

ポジティブリスト方式を続けていれば、新技術が生まれた時にも直ちには利用できないという問題が生じる。次に公職選挙法を改正する際にはネガティブリスト方式にすべきだ。それも、買収してはならないとか、巨額の選挙資金を使用してはならないとか、他人を騙ってはならないとか、絶対に許されない事柄だけに簡略化し、後は自由にしてはどうか。少なくとも、行政が「これはよい」「これは悪い」と判断する現状は改めるべきだ。

ネット選挙運動の解禁は選挙の在り方を変える可能性がある。今後に注目したい。

山田肇 -東洋大学経済学部