2000字と3分…ウェブ媒体記事の適切文字量…の呪い

2013年05月02日 14:46

Cakesの加藤貞顕氏が述べていて、やっぱりそうだよなあ、と、あらためて思ったのが、ウェブで読む上で適している一つの記事の限界は「最大で2000字」というもの。「3分で読める分量で十分」。この量はYouTubeの視聴時間を参考にしているそうで、最近、視聴時間は1分になっているのだとか。

4月30日に五反田のゲンロンカフェで行われた『ハフポスト日本版編集長 松浦茂樹 vs cakes CEO 加藤貞顕「ウェブ編集者とは?」』に参加してきました(どうでもいいですが、いつも思うのですがハフィントンって発音が覚えにくい名前ですよね。このイベント名も間違ってる?)。ハフィントン・ポスト日本語版はブログを集めてくるメディアで(きれいな2chまとめサイトみたいなものらしい)、cakesは有料課金をしているウェブ記事メディア。

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私は、いつも物書きとして、長年コンテンツを作る側にずっといたため、編集側の人が何を考えているのか、イマイチわかっていないので、とても勉強になりました(模様は、cakesとハフティントンポストとアスキーに載るそうなので、詳細はそちらで)。

加藤氏によるとcakesの記事は1本3分で、文字は短くていい、というのをルールにしているのだとか。紙はめくって進まなければならないので、雑誌でもストーリーになる。ウェブのコンテンツは、どうしても細切れになってしまうのに対して、その量にならざるを得ないという。

「2000字を越えるようであれば、新聞の小説のように分けて書けばいいじゃない」とも。

松浦氏もニコニコ超会議2での対談で、堀江氏が「400字で十分じゃん」と述べたことに言及しながら、短くても困らない。逆に記事を読んだら、サイト内の次の記事を続けて見てほしい。そして、一人の読者のサイトでの滞在時間が長くなるようにしたい、と述べていました。「滞在時間が長いということは、そのサイトのサービスへの満足度が高い」ことでもあると。

2000字縛りがかかると、「身も蓋もない話を書く人が強い」。堀江さん、山本さん、ちきりんさん、藤沢さん等、今、ウェブで読まれている文章を書いている人はそういう人たちだと、加藤氏。

さらに、池田信夫先生がいかに強力なのか、という話にも。松浦氏は、短めの文章量で、殴りつけるような結論で終わる。イラッとするけど、文章力が圧倒的にうまい。加藤氏は、池田氏の短めの文章は、いろいろな情報が捨てられるので問題になることもあったり、ケンカに発展したりするけど、元々そういう生き方をしていた。それが、ブログ時代に華開いたとの見方。

「あれぐらい乱暴に生きてくれた方がいい」と加藤氏。

2000字……2000字……。

いや、私もわかってはいるのです。アゴラでは、投稿する書き手の人に、2000字以内に収めるようにしてほしいと、最初にお願いが来ます。ただ、常に書きすぎてしまう癖を持つ私には、2000字は難しい。私の講演を聴かれた経験のある方はご存じとかもしれませんが、内容をおもしろがって頂くことは多いのですが、情報を詰め込みすぎる傾向があります。「講演で記憶に残るのは、せいぜい2つぐらいのトピックだ」という話もあるので、かえって記憶に残ってないのかもしれません。

また、アゴラに投稿されている書き手の皆さんも、2000字ルールをあんまり守ってないですよね。一方、実際、読みづらいのは、自分の体感でもわかります。長すぎると思える文章は、途中で読むのが面倒くさくなって、確かに途中で読まなくなる。

とはいえ、私の文章は長い。例えば、今日、日経新聞電子版に掲載された私の原稿「プレー動画が面白い 人気ゲーム『マインクラフト』の魅力」は、ほぼ4000字。これは比較的短い方で、いつも5000字近く書いてしまいます。4000字だと感覚的には3トピック。「超会議2の様子と基本説明」、「プレー動画がいかにゲームの普及に影響を与えたのか」、「教育などへの波及効果」。実際には、もっと書きたいことがあるのですが、さすがに3つ以上のトピックには広がらないようには気を付けています。長年このリズムなので、身体に染みついています。

ある程度、長い文章を読ませるテクニックは、ウェブ側にもあると思っています。冒頭部分の説明、改ページと、中見出し。アゴラに長い文章を投稿される方で、読みにくいって思うのは、中見出しが付いていない方だと、個人的には思っています。そして、タイトル。日経新聞電子版の場合は、タイトルは、基本的に編集側が決めます。読まれるようにするタイトルの工夫があるようで、時に過激なタイトルになるのは、そういう理由が多いです。書き手がそれを選ぶのは無理です。

2000字だと、1トピックから短く2トピックぐらいでしょうか? ただ、この瞬間もその縛りの分量に合わせて、懸命に情報を詰め込もうとしている自分がいます。長年のできあがった思考の癖が生む呪いなのかもしれません。

とはいえ、あらためて媒体の違いが書く・読むを変えてしまうことを感じました。
(と、ぴったり2000字)

新清士 ジャーナリスト(ゲーム・IT)、作家 @kiyoshi_shin
メルマガ週刊アゴラにて「ゲーム産業の興亡」を連載中

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