新卒採用における「内部者」の問題を考える --- 池田 信人

アゴラ

私はジョブウェブという就職活動サイトを運営している企業で働いているのですが、学生・企業・大学の動きが上手く噛み合っていない様子を毎年目にしています。新卒の就活で話題に上がるのは倫理憲章ですが、時期ずらしだけでは効果がないと言いますか、大多数の企業と学生にとっては逆効果なんじゃないかという印象を持っています。

何とかできないものでしょうか? 


●内部者は誰か?

Chikirinの日記という個人ブログにボタンを探せというエントリがあります。ここには、「何をまず変えれば変化の歯車が動き出すのか」「現実的にどうすれば変わるのか」というボタンの位置を内部者は知っている。そのように書かれています。

なるほど。確かに、政府や経済三団体などのトップダウン的に決められた内容で、学生・企業・大学の動きが上手く噛み合った状況を作れていないのも「ボタンが見つからない」からだと考えることができます。もちろん、トップ側にも新卒の就活事情に明るい有識者の方々が名を連ねていらっしゃると察しますが、ボタンの位置を知っている内部者ではないのでしょう。

では、ボタンの位置を知っている内部者とはどこにいるのかというと、一つ心当たりがあります。それは現場の最前線。そこに内部者がいるはず。

大学のキャリアセンター職員で学生対応をされている方。
大学3・4年生向けに講義を持っている教授。
企業の新卒採用担当者。
新卒の就職活動サイトを運営する企業の平社員。

内部者候補としては、こういった方々が浮かび上がってきます。ただ、内部者である彼・彼女らをもってしても、正確なボタンの位置は知りえないと思います。

●あちらを立てれば、こちらが立たず、そちらも立たず

新卒の就活に関しては多くの問題があります。

学業を阻害する就活。
大学で学んだことが評価されない(され難い)採用選考。
名ばかりの倫理憲章。
就職サイトがもたらした負の影響。
大企業にばかり目が向く学生。高度化しつつある採用ハードル。などなど。

そして、こういった問題・課題が独立して存在しているのではなく、地続きに繋がっています。絡まっています。あちらを立てればこちらが立たずそちらも立たずな状況ですから、現場の最前線にいる内部者をもってしても、学生・企業・大学の三方良しとなるような正確なボタンの位置は分からない。分かりようがない。そのように感じています。

ですが、内部者であればボタンの位置を特定するために役立てられる情報を持っていると信じていますし、内部者たる私自身も、役立てられると思う情報を、組織の壁を越えて一個人として力強く発信していくつもりです。

ここはひとつ、内部者たる関係各位の皆様の情報発信を束ねて、ボトムアップで、学生・企業・大学の動きが上手く噛み合うようなボタンを見つけようではありませんか。

池田 信人
株式会社ジョブウェブ
個人ブログ