日経の見出し「郵政経営、政治が翻弄」は間違いだ!

北村 隆司

政権交代のどさくさを狙って100%株主の政府に知らせずに斉藤次郎日本郵政社長が任期途中で突然辞任し、自分の子分格の坂 篤郎氏を後任に据え、取締役会の承認を得ているから株主が口を挟む問題ではないとうそぶいた事は記憶に新しい。


この件で、当時の菅義偉自民党幹事長代行は「官僚が自分達の権益を守るような人事は許されない」と公憤を漏らしてが、当然の事である。

そして、株主総会の時期を迎えた今、政府は坂 篤郎氏をやっと退任させることになったらしい。遅い!
 これを評して野村修也中央大学教授が「政権交代のたびに経営陣が代わるのは望ましくない」と現経営陣を擁護する発言をされたらしい。

それを言うならドロボー猫の様に、安倍政権発足直前の空白を狙い、しかも民間なら当然の常識である100%親会社(この場合は政府)への重要人事の事前報告もせずに、自分のお気に入りの子分に社長の身分を譲った時に文句を言うべきだった。

これでは、改革と立法精神の遵守を主張する橋下市長の顧問をしているのは、単なる売名だったのかと疑いたくなる。

欧米の金融機関でも、度重なる経営陣の横暴に耐えかねて、CEOと会長を分離したり、危機管理で貢献の少ない社外取締役を株主総会で不信任する動きが強まっている。

世界最大、最良の銀行と言われ。今期も増益が約束されているJP モーガンのダイモンCEO兼会長も、株主総会で会長を外される可能性も出てきて、必死の株主対策を続けているくらいである。

社長交替を100%株主に伝えていないなど、完全にfiduciary duty(忠実義務)の違反を知りながら社長の交代を認めたとすれば、株主の代理人としての役割も果たさない「ラバー・スタンプ」の典型で、これ等取締役は歳費を返上し辞任すべきである。

池尾和人慶応大学教授の「政権交代直前に重要人事を決めた郵政に非がある」と言うコメントは当然にしても、経営トップとして当然守るべきDue diligence(当然の注意義務)を守らなかった斉藤、坂両氏は経営者として失格で、自分は治外法権だと思う時代遅れの思いあがりだと批判して欲しかった。

日経の記事には署名がないので、誰かに頼まれた記事であろう。

この際、政府は社外取締役である:
石 弘光、一橋大学名誉教授 。井上 秀一、(元)東日本電信電話株式会社代表取締役社長。入交 太郎、入交グループ本社株式会社代表取締役社長。岡村 正、日本商工会議所会頭。奥田 碩、株式会社国際協力銀行代表取締役総裁。神野 吾郎、株式会社サーラコーポレーション代表取締役社長。小池 清彦、加茂市長。杉山 幸一、(元)三菱重工業株式会社常務取締役、曽野 綾子、作家。原田 明夫、弁護士。松尾 新吾、九州電力株式会社相談役。渡邉 隆夫、渡文株式会社代表取締役社長から事情を聴取し、今後も取締役としてのfiduciary duty(忠実義務)を守る意思がなければ、辞任を求めるべきである。

又、これほど機能しない取締役会に、何故これだけ大勢が必要なのかも、国民に説明してし欲しい。

2013年5月11日
北村 隆司