小額投資非課税制度(NISA)の有効活用方法 --- 土居 亮規

アゴラ

皆さんお久しぶりです。ビジネスライブラリーの土居です。前回(かなり前ですが……)は小額投資非課税制度についてのデメリットについて書かせていただきました。あの後しばらく経ち、小額投資非課税制度(日本版ISA)にもNISA(ニーサ)という愛称が付くぐらいに世間にも知られるようになってきましたので、今回はこのニーサの有効活用方法を考えて行きたいと思います。


●インカムゲインを狙おう!

狙おう! といっておいてなんですが、正直コレぐらいしか選択肢がないんですよね(苦笑)。インカムゲインとは資産を保有している事で得られる収益の事を指します。つまり、利払いや配当金などですね。

前回解説したのでうだうだとは繰り返しませんが、ニーサの構造上トレーダーのように何度も売買してキャピタルゲイン(売買による価格差から得られる損益)を狙うのはうまみが非常に少ないです。

が、ニーサによって非課税になるのは「売却・配当によって得られる利益」となっているので、それはつまり「購入して持ち続ける。そうすれば配当金が非課税で手に入り続ける。」という風に解釈ができるわけですね(ここはメルマガ等の非公式媒体でも語っているように、私個人としてはあまり好きな方針ではありません)。

●どういった銘柄を買えばいいの!?

最初に断っておきます。個別の銘柄を指して「○○を買えばいいよ!!」とは言いません(個人的にメール等で問い合わせていただいても同様です)。

そもそも投資とは自己責任であり、究極的には自分の決定によって行い、そのリスク・リターンの両方を自身で背負うべきものだ、と考えているからです。

とはいえせっかく読んでくださった読者様を「勝手に調べて勝手に選べ!」と突き放すのは非常に心苦しいので、基本的な方針だけは指し示しておきます。

1. 成熟業界を選べ!!

配当を目的として長期保有する、ということなので当然成熟していて、今後も存在し続ける(≠今後も成長し続ける)という業種を選びましょう。例えば電気・鉄道などですね。

ただしここで「成熟業界」ではなく「衰退業界」を選んでしまうとジリ貧なので注意。例えばテレビ(ネットがあります)、百貨店(同じくネットが……)、銀行(手堅く見えるけど、最近は貸し出しでなく投信の手数料業者になりつつあります)などがあります。

何事にも例外というものはありますが、全体として凋落が見えている業界は避けましょう。株式の配当というものは債券などと違い、「確実に支払わないといけない」といったものでないという点に注意です!

2. 借金の少ない企業

長期保有なんだから、つぶれたら元も子もない。

もちろん借金をしていても利息の支払い分以上に収益を上げられているならそれは素晴らしい企業なんですが、そんな状態が長く続きそうな企業はあんまり……というのが正直なところ。アベノミクスで金利も順調に上がってますしね。

3. 為替の影響が少ない企業

言い換えるなら、「輸出入に絡まない企業」。短期・中期投資なら話は別ですが、こんな不安定な政権・政策下で為替リスクを長期間保有し続けるのは無謀です。

少し話は変わりますが、先日大々的に「トヨタが1兆円の営業利益!」というニュースがでましたよね?

これはトヨタの商品や営業システムが素晴らしくなったのではなく、ただ単に為替が大きく動いた事によりそれによって得られる利益が数字上増えたというだけのお話です。別に経営が改善したわけでもなんでもないんですね。

というわけで。儲かることがあるということは同様に損する可能性もあるわけで、長期で保有し続けるという選択肢をとるのだからこういった余計なリスクは抱え込むべきではないでしょう。

以上、ニーサの利用法でした。投資に縁のない方にはイマイチとっつき難く、金融に携わる方にとっては少々物足りない内容ですがご勘弁ください。

土居 亮規(どい りょうき)
ビジネスライブラリーバタフライ
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