2年ぐらい前までは私がカナダで経営するカフェの近くにある某一流チェーンホテルでは一泊あたり20ドルのネット接続料を徴収していました。これに対して多くの顧客は接続無料の私のカフェにネット目的もあり、朝食を食べに来てくれました。残念ながら最近ではホテルロビーエリアだけはネット無料化時代に対応したようです。
その頃までは私がシアトルあたりのホテルに泊まっても一泊あたり10ドルから20ドル程度の料金は確かに取られていました。かろうじてロビーはWiFi無料です、と謳っていてわざわざロビーでネットをやった記憶があります。しかし、無料範囲はどんどん増え、最近ではレストランでもカフェでもホテルでも無料でWiFiが出来るところが増えたので助かります。(というより私のように市場と向かい合っている人間にとってはWiFiに常時つなげてリアルタイムで株価や為替を追うことがとても重要ですのでむしろ、ビールを飲むにしろ、食事をするにしろそういう環境が整っている店を選ぶ傾向があることは確かです。)
私のカフェでも明らかにネット目的で来る顧客はずいぶん多く、我々の生活にネット接続がいかに重要か身近に感じます。また、音楽もいまや、ダウンロード型からクラウド型に代わりつつあります。ならばネットに繋がらなければ音楽も聴けないということになり、カフェやホテルなどリラックスすることが最前提の施設ではネットに繋がらないことは致命的な問題ということになります。
さて私のように海外に拠点を持つ人間にとって日本に行くと実に不便を感じます。ネット無料のところは少なく、WiFiスポットに行っても有料登録せねばなりません。しかもどこでも同じというわけでもないところが日本の最大の不便さであります。場所ごとに登録しなくてはいけないのは日本をベースにしている人と海外から来た人では雲泥の差の不自由さなのであります。また、無料ネット電話が普及した今、スマホとWiFiさえあれば海外にいても不安がなくなりましたがWiFiにおいては日本はまだまだ遅れているのであります。
ネット大国の日本において公共のエリアで無料スポットをなぜ増やそうとしないのでしょうか?
日経ビジネスにも同様の記事で、「訪日外国人に冷たいブロードバンド先進国」という記事がありましたが読みながら思わずうなずいてしまいました。日本で契約したスマホをもっていればネットにはつなげることが出来るでしょう。しかし、外国人観光客を増やしたい日本においてあまりにも外国人の目線を忘れているような気がします。
WiFi無線ルーターという手もありますが、出来るなら今さらそんなめんどうなモノを持って歩きたくないというのが本音でしょう。それ以上に手軽さという点で時代の流れに逆らっている気がします。
日本では一部ではネット接続をいまだ儲け代にしようと考えているのかもしれません。しかし、私は今や、インフラやサービスの一環であると考えています。レストランやデパートにはきれいなお手洗いがあり、北米のホテルでローカル電話が無料なのはインフラがサービス化したものです。ならばネット接続もそうなるべきでしょうし、顧客はそれに大いなる価値を見出すと思います。
今日はこのぐらいにしておきましょうか?
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年5月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。