「労働者」ではなく、「プロフェッショナル」「リーダー」を指向しよう --- 内藤 忍

アゴラ

以前、こちらのブログでご紹介した『イシューからはじめよ』には、「レイバラー(労働者)」と「プロフェッショナル」の違いが説明されています(36ページ)。

人から言われた仕事を言われた通りにやる。そして、働いた時間に対して賃金を得る。このような時間に対する課金で働くのが、レイバラー(労働者)。


プロフェッショナルとは、労働時間ではなく、アウトプットに対しての成果を受け取る仕事だという定義です。アウトプットとは「どこまで変化を起こせるか」あるいは「どこまで意味のあるアウトプットを生み出せるか」ということです。

「限界まで働く」とか「労働時間で勝負する」というのはレイバラーの発想です。会社の労働時間が短縮化しないのは、その会社の人事評価がレイバラーの発想で行われているからだと思います。「朝早くから彼は頑張っている」「昨日も終電で帰った」そんな仕事ぶりが、内容に関係なく評価されてしまうと、誰もがレイバラーへの道を歩むことになります。

プロフェッショナルの中には、自分一人で成果を上げていくのではなく、周りを巻き込んでチームで成果を生み出すのが得意な人がいます。このような人こそ、リーダーとして組織全体のアウトプットを最大化していく仕事が向いています。

このリーダーに求められる資質も変わってきています。

今までは、ピラミッド型の組織の中で経営陣の考えやビジネスプランを現場に伝え、決められた仕事を納期に間に合うように、あるいは目標に到達できるように「管理」するのが中心でした。しかし、ビジネス環境の変化が大きくなると、このように完成された組織で硬直的に仕事をしていると、変化に対応できなくなります。

重要になるのは、プロジェクト毎に、だれが一番その仕事をこなす能力が高いのかを見極め、最適な人員配置を柔軟に行って、迅速に対応する体制を作っていくことです。

そこには、従来の情報の独占や人事権の行使によって存在意義を保っている管理職という人が存在する場所は無くなります。組織がフラット化すると情報の独占が無くなり、管理職でなくても経営情報や社内の重要な情報にもアクセスできるようなるからです。

また、人事評価も上司が部下を密室で評価する方法から、複数の人が多面的に評価する仕組みに変わり、上司が部下にも評価されることさえ出てきます。

こうなると、リーダーとなる人には、今までの管理職とは違った資質が求められます。リーダーには部下を「管理」するのではなく「サポート」していくコーチやメンターのような役割が求められるのです。

こうして考えてみると、21世紀型の仕事環境で自分を成長させるためには、

レイバラーではなく、プロフェッショナルを指向する
(時間単位の仕事の考え方からの脱却)
管理者ではなく、リーダーを指向する
(管理するという仕事の考え方からの脱却)

が必要だと思います。何時まで働くかではなく、今日はどんな成果を生み出せるかを考え、部下をどうやって管理するかではなく、彼らをどうサポートして成果を生み出してもらうかを考えることが求められるのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月18日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。