「アバター」化がもたらすバイト炎上騒動

アゴラ編集部

「アバター」というのは、ネット上などのバーチャル空間における「分身」のことです。世界興行収入のトップに君臨したジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』は、異星人との意思疎通をはかるため、実物の「肉体アバター」を作り、それをヒトが遠隔操作する、という着想の作品でした。これはバーチャルではなくリアルな「アバター」であり、現在でもヒューマノイド型ロボットがさらに進化していけば、遠方から自分があたかもその場所にいるかのような「分身」を操作させることができる、と考えられています。


一方、ネット上のコミュニティにおける「アバター」は、SNSなどのプロフィールやソーシャルゲームなどで使われています。Mobageの「アバタービジネス」が有名。2000年代後半の一時期、「アバターバブル」のような状況だったんだが、今では陳腐化し、その座をLINEなどのスタンプビジネスに奪われています。しかし、あれは「アバター」を着飾らせたり部屋に小物を置いたりしていたことが、今度はLENE上のスタンプでメッセージなどを飾ることへ変わっただけ、という人もいます。スタンプも一種の「アバター」なのかもしれません。

ちなみに「アバター(avatar)」とは、サンスクリット語の「化身」の意味である「アヴァターラ(avataara)」が語源だそうです。なので商標権などはありません。1985年のRPG『Habitat』では元の宗教的な意味で、また同年のPCゲーム『Ultima IV: Quest of the Avatar』では我々が現在、使っているのと同じような「アバター」として登場したらしい。SF小説ではもっと古く、1980年にノーマン・スピンラッドが書いた『Songs from the Stars』の中に出てくるそうです。やはり、ネット上で自分が活動するための「意匠」として「アバター」という言葉が一般化していったんでしょう。

バーチャル空間にどうしても自分の「分身」が必要だったり、コミュニケーションする際にどうしてもメッセージを飾り付けなければならないとすれば、「アバター」やスタンプの次なる「意匠」アイディアが出てきても良さそうです。ひょっとするとそれは映画『アバター』のように、リアルとバーチャルの間で活動するような「分身」なのかもしれません。また、お騒がせバイトがネット上で炎上を繰り返しているのも、こうした方向性を表している現象とも考えられます。「ホンモノ」と「分身」の境界が、ドンドンあいまいになっていく時代なんでしょうか。

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アゴラ編集部:石田 雅彦