原発事故は国が責任をもって処理せよ

2013年09月09日 23:07

今夜の言論アリーナは、いま話題の汚染水問題。安倍首相がオリンピックの招聘演説で「汚染水は国が責任をもって処理する」と世界に向かって約束したので、この際、事故全体の処理体制も見直してほしい。


もちろん事故を起こした東電が責任をもつことは当然だが、その経営は実質的に破綻している。こういうとき「自己責任」の建て前で(処理能力のない)民間企業にやらせていると、結局、国民負担が膨張することは90年代の不良債権処理で経験した。今回も東電に丸投げして国が「支援」するとか「出資」するとかいう変則的な体制を続けていると、汚染水のように対応が遅れて被害が拡大するおそれが強い。

汚染水についていえば、今でも900本のタンクに貯蔵しているが、毎日1000トンの地下水が構内に流れ込んで汚染水とまじる状況では、これを今後もずっと貯蔵タンクに封じ込めるのは莫大なコストが必要だ。基本的に薄めて流すしかないのだが、これには漁業関係者などの反発が強く、東電の立場では「お願い」しかできないので交渉に時間がかかる。

今の処理体制は、田原さんによると「(民主党政権の)仙谷が決めた」のだという。当初は民主党内でも東電を破綻処理して分割し、事故処理専門の会社をつくるべきだという意見が多かったが、JBpressにも書いたように、経産省の松永次官(当時)が銀行に口約束で債務保証をしてしまったため、「仙谷が泥をかぶって東電を生かすスキームを考えた」という。

これが結果的には「コストは全部、東電に負担させればいい」という政府の甘えをまねき、避難も除染も1mSvという非現実的な基準で行なわれ、原発も勝手に止めた。こうした措置には法的根拠がないため、各地でバラバラに東電に対する賠償訴訟が起こされ、市町村がバラバラに除染しても東電にはコントロールできない。このままでは、最後は納税者に数十兆円のツケが回ってくる。

この無責任体制を改めるには、国が統合対策本部をつくってすべての意思決定を行ない、訴訟も除染も国が責任を負うべきだ。もちろん最終的には、費用は時間をかけて東電が負担する。東電を100%減資して存続会社と受け皿会社に分割し、賠償や除染や再稼働についても法令にもとづいて行なうべきだ。これは東電をつぶせないことがネックになっているが、東電の株主が責任を負わないで国が責任を負うことはできない。

番組の最後で「国が責任を負うべきだと思うか?」というアンケートに、84%以上が「YES」と答えたのには驚いた。安倍首相は支援機構の枠組を見直し、国際公約を果たすべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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