転換期にある「シェアハウス」 --- 岡本 裕明

2013年10月02日 14:43

ドラマのタイトルにもなったシェアハウスに今、試練が待ち構えているようです。急速に全国に普及したシェアハウスライフスタイルはドラマ以前から若者のライフスタイルの変化がその流行のベースにありました。しかし、今、毎日新聞などで大々的に取り上げられたこともあり、脱法シェアハウスという冠をつけられ、運営するほうも居住するほうもやや警戒する傾向にあります。今日はこのシェアハウスの将来について考えてみましょう。

シェアハウスが日本で急速に発展した根本理由は何でしょうか?


私なりの理解はITの進化に伴う若者の時間の過ごし方の変化がシェアハウスを呼び込んだとみています。

多くの若者は今や、パソコン、スマホ、タブレットに通信型ゲームはなくてはないアイテムだろうと思います。ゲームでもSNSでも読書でも情報サーチでもユーチューブでもほとんどすべてこれらITのガジェットを通じて交流しています。つまり、今、人と人の付き合いはリアルよりも画面を通じた付き合いが主流になっていると考えられます。

東京の美容室で20歳ぐらいの方といろいろ話していて面白いな、と思ったのは「カラオケは一人で」というのです。なんとなくキーワードになりつつあるのでしょうか。グループで行っても友人が歌っている間はスマホをいじって自分の順番をただ待つだけなのでそれならば一人で行ったほうが効率よく歌えるということなのです。昔はカラオケを通じて人と人のつながりを深めるという意味合いがありました。古いですが、歌声喫茶というのはその原点でした。しかし、今や、カラオケは自分のための「ゲーム」であり、歌がどれだけうまいかポイントをゲットし、カラオケソフトによっては「最後まで歌いきれるように」自分に頑張るということに視線がどんどん移っています。

これが若者をより個の時代に押し込んだとも言えます。

ところが、人は完全に孤立して生活することができません。そこで似たような境遇の人と必要なとき必要な接点だけを持てる「我侭な」住宅が必要となりました。これがシェアハウスの需要の原点だったと思います。

あるいは漫画家が集まったトキワ荘のように同じ目的の人が寝泊りをともにしながら励みあうというのもシェアハウスのバックボーンだったかもしれません。

しかし、急速に増えたシェアハウスはほとんど古家を改築し、押し込めるだけ押し込むというスタイルが一部で横行しています。もともと古家で使い勝手が悪いところを更に間仕切りするというのは建築的にも無理がありますし、そこに入居する人たちも果たして本心でそこに入居しているというより「流行っているから試してみる」とか「安いから」「手軽だから」という理由が主流ではないかと思います。

このスタイルでは安直であり、将来的にこの市場を成長させるのには無理が生じます。今回、国交省が一定の規制を検討するというのは正しい発想だと思います。基本的には高齢者向け住宅に於ける規制を基準とするのだと思いますが、高齢者向け住宅は個人スペースがかなり広く取ってあり、シェアハウスとはコンセプトを異にするため、そのあたりは今後つめていくことになるでしょう。また、防災上の問題、保健衛生上の観点も考慮すべきでしょう。

個人的には第一次シェアハウスブームはこれでいったん終焉し、法整備を踏まえたうえで第二期ブームを目指していくことになるとみています。その際、市場を閉塞させるような規制にしないことが大事です。家賃的には規制をクリアするとなれば今までのシェアハウスの運営は厳しくなるはずです。しかし、優良なシェアハウスの提供は若者を中心に居住の選択肢の重要な一部を占めてきています。そういう意味からもシェアハウスの芽を摘んではいけません。

考えて見れば携帯ゲームがコンプガチャ問題で一気に風向きが変わりましたが、シェアハウス業界も今、その真っ只中にいると考えてよいでしょう。

今後の展開に注目したいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年10月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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