アマゾンが提案する未来の配送は、タケコプター? --- 安田 佐和子

アゴラ

「ドラえもん」といえば1969年に連載を開始した漫画であり、1979年にテレビ放映が始まった日本を代表する名作。私もTVで観るのが大好きで、子供の頃は阪神戦をねらってサンテレビ変えようとする父と何度もチャンネル争いを繰り広げた覚えがあります。ドラえもんがポケットから取り出す小道具での私のお気に入りは昔から海外好きなだけに「どこでもドア」と、空を飛べる魅力から「タケコプター」でした。

あなたも夢見たタケコプター、太平洋を超えアマゾンが実現に向け動いていると知ったら、驚きますか?

ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)率いるアマゾン、米郵政公社と協力し配送の常識を破って日曜お届けを開始しただけではありません。フェデックスやUPSのお株を奪う離れ業は、空にまで伸びました。

有料会員システム「アマゾン・プライム」なら、アメリカだと2日以内で無料は当たり前で、今では即日宅配サービスまで実施中。では、宅配ピザ並みのスピードで商品があなたのもとへ運ばれるとしたら……?

ベゾスCEOがホリデー商戦を狙い撃ちして発表した「アマゾン・プライム・エア」なら、そんな贅沢な望みを叶えてくれます。ヘリコプターのような形をした小型機が、空からあなたの家まで商品をお届けしてくれるんです!

その姿は、まるでタケコプターといっても過言ではありません。

1)ベルトコンベアーから商品をキャッチ

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2)配送先からお届け先へ飛び立つ

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3)お届け先に、商品を無事着陸

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カバーにあるアマゾン制作の動画とCBSの「60ミニッツ」に出演したベゾスCEOいわく、商品をベルトコンベアーから小型機に繋げ、GPSを手掛かりに配送先へ飛ばすんです。商品を玄関口に下ろせば小型機はお役御免で配送地点へ戻っていくという、立つ鳥後を残さずの仕事っぷり。配送にかかる手間とコストを徹底的に省いた戦略は、お見事です。

商品配達にかかる時間は、ご注文から30分以内を目指すといいますから野心的。ベゾスCEOはインタビューで、重量5ポンド(2.3kg)までの商品であれば、10マイル(約16km)の距離を30分で飛ばせると自信たっぷりです。プロペラ部分の羽根はヘリコプターの4倍にあたる8枚を数えるだけに、1枚くらいの損傷もナンのその。未来を予感させる配送システムに、胸がドキドキしちゃいませんか?

もちろん、実現には数々の障害が横たわっております。一軒家が多く土地が余りまくっているアリゾナ州やテキサス州ならともなくとして、集合住宅が主流で人口密集地のニューヨークなら実用的か疑問でしょ?米連邦航空局(FAA)がスンナリ許可するとも思えません。ベゾスCEOも、最大の難関はFAAだと指摘しております。

でもベゾスCEO、意外にも実現は近いと想定しており「2015年」をメドに挙げていました。2015年のサイバー・マンデー(感謝祭後の最初の月曜日、職場のパソコンを通じオンライン・ショッピングが大いに盛り上がる日)には、アメリカの空を無数のタケコプターが飛び交っているのかもしれません。

テスラのイーロン・マスクCEOといえば、アメコミ・映画「アイアンマン」との類似性から「実在するトニー・スターク」と呼ばれています。ベゾスCEOの場合は、その独特の発想力と未来を読み取る力から「ドラえもん」なんてニックネームがついてもおかしくないですね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年12月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。