岐阜新聞お家騒動の寒いオチ

2013年12月15日 07:00

この週末は「信長の野望」の30周年記念作で遊ぼうと思ったのに、忙しくて買いそびれるうちに店頭品切れの放心状態であります(-。-)y-


それで信長ゆかりの地・岐阜から、これも一報を聞いた時に放心してしまいそうな痛いニュースが飛んできました。岐阜新聞の不可解な社長交代劇です。

この読売新聞の記事を引用するまでもなく、金融機関出身者が、地方紙とはいえ新聞社の社長に就任していたこと自体が、日本の新聞業界では極めて異例の人事だ。いや金融機関に関わらず、外部からトップをヘッドハントすることも、信長が寡兵ながら桶狭間で今川の大軍を破ったこと並みの珍事。驚きを持って受け止められているようだが、経営と編集の分離が進んだ欧米の新聞ビジネスでは、ビジネス経験のある経営者が社長、CEOを務めることは普通のことだ。たぶんアメリカ人に言わせれば、ビジネス経験の無い記者出身者が大半の新聞社で社長を務めるという日本の経営スタイルの方が“ガラパゴス”だろう。
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▲お家騒動に揺れる岐阜新聞社(※画像はwikipediaより)

毎日新聞で第一報の記事を読むと、「新聞社内にはマスコミ出身ではない堀江氏への反発が強かった」という岐阜県幹部のコメントが載っており、さらに前出の読売記事では、「読者からも公正な報道への疑問の声が寄せられていた」と“追い打ち”をかけるような報じ方をしている。そういうわけで当初は、ガラパゴス文化の価値観に基づく社内外から抵抗の動きが根強くなり、堀江氏を「エイリアン」扱いにして叩き出したという分かりやすい図式なのかと思った。

しかし、それらの記事の字面を眺めただけだと、シナリオとしては「美し過ぎる」と思ったのよね。それで、自分なりに各方面に手を伸ばして調べてみたのだけど、現地の事情通によれば、結論としては、どこの老舗オーナー企業にもよくある「内紛」劇の様相が透けて見えてきた。たぶん、やまもと隊長クラスの鋭いカンをお持ちでない方でも、企業人事に造詣がおありの読者なら、堀江氏が辞任した翌日のこの記事でピンと来るでしょう。

堀江博海(はくみ)前社長(65)の辞任などで混乱した岐阜新聞社は13日、杉山幹夫会長(86)が退任したと発表した。「一連の混乱を招いた責任を取った」としている。実質的オーナーの杉山氏は40年以上にわたり社長と会長を務めてきたが、代表権のない取締役となる。また、後任の社長に、9日付で退任した碓井洋元社長(59)が復帰したことを明らかにした。(毎日新聞 2013年12月13日)

外様社長の後ろ盾だったオーナー家出身会長の引責辞任と入れ替わって、すぐ元社長が復帰を果たしたところで、社内で綱引きをし合う二つの勢力が見えてくる。まー、案の定、この記事が出た後で聞いた話では、実際、「杉山派」と、元社長復帰をポジにとらえる「反杉山派」が存在するそうで、昭和のにおいプンプンの社内対立の構図を確認した次第。しかし、下のグラフを見ていただければ分かるように、会社は右肩下がりの傾向だ。昨年は岐阜国体という追い風で、広告出稿が伸びてちょっと持ち直したらしいけど、他の地方紙と同様、市場環境に不透明感が漂っていることに変わりはない。お家騒動にエネルギーを使っている場合だろうか。なんだか2020年東京五輪大会後に、経営体力のない全国紙やブロック紙でも同様のゴタゴタが起きてしまう兆しではないのか、こういう外部提携立ち消えの噂もあったりと、新聞業界で育ててもらった身としては悪い予感を覚えます。はぁー(-_-;)

131215岐阜新聞グラフ

でもね、新聞業界でイノベーションを起こして面白い生き残り方をするところが今後出てくるとすれば、私は地方紙にこそ期待しています。岐阜の堀江さんは表舞台から姿を消したが、シャバに戻ってきた方の堀江さんはこう指摘している

「僕はいちばん有力なのは地方紙だと思っています。地方紙って、ソーシャルメディア的なところがありますよ。ある地方新聞社の人に聞いたのですが、とにかく地域の読者を3回は紙面に登場させるんだと。生まれた時と、入学した時と、死んだ時。それが地方紙はできるから強い。」
「地方のニュースはウェブメディアにはあまり載らないので、そこも強いです。」
(2013年11月29日東洋経済オンライン)

筆者も新聞記者時代から思っていたことで全く同感。さすがホリエモンです。問題は、新しいことを具体的にどう進めるか。まずは外部から大胆な発想で改革を進める人材を、社長もしくはCOOを登用する。それだけだと今回みたいに追放されるので、同時に社長直轄で、PDCAサイクルを回すエンジンの核となる精鋭部隊チーム(外部採用含む)も配備する必要があると考えます。

オイラも来年から広報ビジネスからメディアビジネスにシフトしていくつもりなので、5~10年以内に、地方紙活性化のプロジェクトをやれるように修練していきたいなー、と思うなり。
では、今日はこんなところで。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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