討論会中止~ハゲも殿も都民なめんな

2014年01月18日 17:00

けさ寝坊で惰眠をむさぼっていたところ、筆者の携帯が鳴った。午前10時半過ぎ。番号表示には見知らぬ11ケタが並んでいる。土曜の朝に未登録の電話がかかってくるのは珍しいので、緊張した筆者は眠気も瞬く間に冷めた。


●前代未聞の2度の流会
「青年会議所の〇〇と申します。本日の討論会、中止になりました」。男性の悲痛な叫びを聞くに、彼が平身低頭あやまっている様子が脳裏に浮かんでくる(会ったことは無いけど)。本日午後2時から六本木のニコファーレで予定していた都知事選立候補予定者の公開討論会が中止になったというのだ。筆者は都知事選のネット選挙レポートを、ある大手メディア系のサイトで発信することになり、その取材で会場入りを申請していた。電話は、中止を告げる報道各社への緊急連絡の一環だった。

▼討論会中止のプレスリリース
140118討論会1

細川、舛添両氏が参加しない意向で、宇都宮、田母神両氏の身で行われる見通しだと伝えられていた。前日にJC側からもらった報道各社向けのメールでは「舛添氏に対し、深夜まで説得する」旨が書かれていたものの、参加者が2人はいれば最低限のカタチにはなる。何があったのか経緯を尋ねると、田母神氏が急きょ不参加の意向を伝えてきたという。

今回の中止は2回目。前代未聞だ。前回に続き、討論会に参加したのは宇都宮氏だけだ。このアゴラでは「内ゲバ」騒動を伝え、「けんぴょん」等とおちょくってきた。彼の政策や政治観とも正直相容れない。しかし主要候補者で唯一、有権者に対して誠実に向き合おうとした姿勢には敬意を表したいと思う。また、昨日事務所開きで取材した田母神氏も、当日ドタキャンの判断はいただけないが、有力候補者の舛添氏らが不参加のなかで討論会の意義を見いだせなかった(とみられる)のは無理もない。実際、投票先を決めていない有権者にとって、2人だけの開催は意味もなかった。

●細川、舛添両氏へ
細川氏の不参加は、正式会見を遅らせて、佐川急便問題や五輪返上発言問題への防御策を構築しきれていないのが明白。脱原発の是非、五輪返上の是非はともかく、筆者も含めた都民としては、都政ではるかに日常的あるいは喫緊の政策(防災、介護、医療、待機児童、教育等)について、どう考えているのか関心を持っていた。いや陣営サイドとしては、まだ表に出せない気持ちはわかるのだが、殿は素人政治家ではない。県知事、そして一国の総理も経験しているのだ。討論会レベルを乗り切れる最低限の見識があるだろう。

それ以上にいただけないのが舛添氏だ。細川陣営に比肩するような重大な懸念があったわけではない。おそらく彼が参加をしていれば田母神氏は討論会出席を翻意しなかっただろう。いや、そんな些末なことではなく、彼は、4人の主要候補者の中で政策的、政治的には都知事としてもっとも現実味があった。細川・小泉連合に票を投じるであろう無党派の有権者でもそれなりに一目を置いているだろうし、彼との間で迷っている人も多いだろう。なぜなら厚労相という行政の長を経験している。くわえて主要候補者がもっとも乱立した99年の都知事選で無党派候補でありながら83万票を集め、3位と健闘するなど、4人の中で都知事にもっとも近付いた“実績”がある。今後の都政で最大の懸案である高齢化対応にも母親の介護経験が礎になっているのも説得力がある。

●運営にも課題
討論会不参加の背景については、公選法で公示・告示後に開催が困難な制度的な問題や、選挙戦術的な観点での理由が指摘されている。したがって従前の民間主催の公開討論会が成立してきたのは、立候補予定者の「善意」に拠って成立してきた。テレビの注目度が俄然落ちる大多数の他の地方選、著名候補者がいない衆院小選挙区の候補者討論会なら、こんな事態は少ない。東京都知事選がテレビ選挙と化したために、テレビ的著名人候補者が優先され、後だしじゃんけんのインパクトが大きくなる。失言があれば通常の選挙より倍加して伝わる、という選挙事情の特異化に対し、従来の運営感覚をしてきた主催者側が対応できていない現状も指摘しておかなければならない。実際、昨年の参院選前の討論会で、後に当選する山本太郎氏は著名人であるが、無所属であるためか不参加(たぶん対象外だったはず)。桐島ローランド氏は著名人でみんなの党公認予定だったが“異業種参入”直後で勉強不足の露見を怖れたのか参加しなかった。

●ネット選挙以前の問題だ
しかし、制度的な問題や選挙区特有のメディア事情があっても立候補予定者は誠意を尽くすのが本筋だ。これで政治家不信や失望がまた募るのだろう。筆者が、ネット選挙について色々伝えてきているのは、少しでも若い世代の政治への興味を、政治家・秘書などにはネットへの関心を、それぞれ高めて政策論議の活発化、投票率向上につなげたいという思いがあるからだ。ネット選挙云々の前に、候補者討論会すら逃亡するようでは根底が崩れてしまう。

あー、もうこれでネット選挙の本を出そうと思って出版社に企画を売り込んでいるところに、編集者からはますます「政治の本は売れない。ましてネット選挙なんか」と言われてしまうのだろう(泣)。

ハゲと殿には、一言いってやりたい。都民をなめるな。あと、オレも商売あがったりだ。ばかやろー<(`^´)>

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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