北朝鮮の開城工業団地の“国際化”は可能か --- 長谷川 良

2014年02月09日 13:19

当方が入手した大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の情報によると、南北両国は開城工業団地(KIZ)のグローバル化に乗り出している。KOTRAが世界16カ国(米国、中国、日本ら)、151社の外資会社を対象に開城工業団地への投資を呼びかけている。

北の開城市は韓国首都ソウルから北西68キロに位置する。その開城市で工業団地建設計画が2002年11月、発表された。韓国の資本と技術を北側の低賃金と質の高い労働力に連結させていくという案だ、03年6月に両国間で正式に締結。04年12月、KIZで最初の製品が生産され、6年後の10年9月には総生産高は10億ドルを達成した。12年1月には北労働者数は5万人を突破。北の核実験などの影響でKIZは一時停止されたが、昨年8月、南北両国は開城工業団地の正常化に関する5項目の合意書に署名し、再スタートしたばかりだ。


開城市は南北間の軍事境界線(MDL)から5キロしか離れていない。生産地・開城工業団地と輸送拠点・仁川(国際空港)、そして金融のソウル市を結べば、3角形となる。3点の距離は相互ほぼ50キロ、車で一時間しか離れていない。すなわち、生産地、輸送拠点、金融地の3点が文字通り3角形を形成しているわけだ。

KIZでは13年2月の時点で北の労働者数は5万3466人、韓国労働者788人だ。KIZに進出している韓国企業数は昨年3月時点で、123社。その産業別は、72社は繊維産業、機械金属業23社、電気会社13社、化学産業9社、紙・木材業3社、食糧生産業2社、非金属業1社となっている。数的には繊維産業が圧倒的に多い。

開城工業団地を他の工業地帯、中国の「青島工業地帯」、ベトナムの「タン・トゥアン輸出加工区」と比較すると、生産性では韓国を100%とすれば、「青島工業地帯」は60%、ベトナムは40%、KIZは71%だ。最低賃金では、青島153から200ドル、ベトナム111・5ドル、KIZは67ドルだ。労働力のリクルートでは中国とベトナムは雇用市場から、KIZは北当局の斡旋による。KIZでは労使間紛争は基本的には考えられない。まとめると、KIZは他の工業地帯より質の高い労働力を低賃金で雇用できるわけだ。

工業団地に進出する会社の税率や産業インフラ(道路、電気供給、輸送)でもKIZは他の工業地帯より有利だ。例えば、法人所得税は中国が25%、ベトナムが今年から22%、KIZは14%だ。

韓国側はKIZを北西アジア経済協力の産業結節点(ハブ化)としたい考えだ。そのためにKIZのグローバル化が課題となってくる。KIZを国際化することで、KIZに進出している韓国企業の経済活動を一層強化できるメリットがあるわけだ。

朴槿恵大統領は昨年11月18日、国会で演説し、「南北間の信頼醸成が朝鮮半島の未来を決定する」と強調し、北側に国際社会との協調を呼び掛けている。

KIZの国際化を実現するためには、北の政情問題、非核化、通信手段の確保など難問題が山積している。張成沢処刑とその後の粛清は国際社会に大きなショックを与えたばかりだ。中朝貿易も停滞の兆しが見られる。海外の投資家がKIZに進出するまでには越えなければならないハードルはまだまだ多い。

(KIZ関連資料はKOTRAが昨年12月出版した「投資家へのKIZ案内書」を参考)


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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