潘基文国連総長の人事能力を憂う --- 長谷川 良

2014年02月22日 11:47

ウィーンの国連内に事務所を持つ包括的核実験禁止機関(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長の夫人が国連工業開発機関(UNIDO)のコンサルタントとして勤務していることを最近、知った。その月給は8000ユーロという。夫人を2年前、UNIDOのコンサルタントとして雇用したのはやはりカンデ・ユムケラー前UNIDO事務局長だった。


ユムケラー氏は8年間UNIDO事務局長を務めた後、昨年から「全ての人のための持続可能なエネルギー」担当の国連事務総長特使となった。潘基文事務総長がなぜ、エネルギー問題の素人であり、UNIDOを崩壊させたユムケラー氏に新設の任務を任せたのかは不明だが、明確な点は国連事務総長の人を見る目がないということだ。

ユムケラー氏は新設機関のトップとして2年間の準備期間で年間63万ユーロ、月5万ユーロを手にする。その額は同氏を抜擢した潘基文事務総長やオバマ米大統領より高給だ。新設機関の事務所は駐国際機関の日本政府代表部が入っているアンドロメダ・タワービルの15階だ。20人の職員を抱えている。

欧州のエネルギー問題専門家は「ユムケラー氏のスタッフの多くはエネルギー問題の素人であり、同氏の友人、知人たちの集まりに過ぎない。彼らは高給を受け取るが、その能力は甚だ疑わしい」という。

そのユムケラー氏は最近、親戚のAnthony Abdul-Karim Kamara氏を広報局長に任命した。P5の待遇だから月給9000ユーロだろう。同氏は国連機関での経験はゼロだ。

ウィーンの国連外交官は、「明らかに、縁故人事だ。ユムケラー氏は将来、出身国シエラレオネの大統領になるために多くの布石を打っている。新広報局長はユムケラー氏を国際社会に売り込むための人物に過ぎない」と受け取っている。先述したCTBTO事務局長の夫人へコンサルタントのポストを与えたのも人脈つくりの一つというのだ。

ユムケラー氏をよく知る外交官は、「彼は2018年の大統領選に出馬する考えだ。UNIDO事務局長時代、ウィーンの事務所にほとんどとどまらず、世界を飛び回ったのは顔を売り、国際社会で人脈を構築するためだった」という。

同外交官によると、ユムケラー氏は次期国連事務総長の有力候補者ヘレン・クラーク女史(ニュージーランド)にも接触して、顔を売っている。同女史が国連初の女性事務総長となれば、事務次長のポストを狙っているはずだ」というのだ。

UNIDO事務局長時代のユムケラー氏の縁故主義、腐敗などはこのコラム欄でも何度か紹介してきた。現UNIDOの腐敗にはユムケラー氏の責任が大きい。そのユムケラー氏が国連の資金を駆使し、自身の野心実現のために腐心しているのだ。

繰り返すが、潘基文国連事務総長は、エネルギー問題の専門家でもなく、UNIDOを腐敗させた人物をどうして高給で新設機関のトップに抜擢したのか。国連資金の浪費以外の何ものでもないのだ。潘基文事務総長の責任は大きい。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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