知財本部の検証・評価スタート(下) --- 中村 伊知哉

2014年04月15日 07:46

(上)より続く。

知財本部「検証・評価・企画委員会」での検証・評価、6アジェンダの後半戦を報告します。

4 クールジャパンの展開
 1) イベント開催と海外発信
 ・コフェスタ、メディア芸術祭、JAPAN EXPO、Tokyo Crazy Kawaii Parisなどを推進。
 ・外務省、経産省、農水省などが広報文化事業、イベント開催、情報発信に注力。
 2) クールジャパン機構
 ・海外需要開拓支援機構を設立、政府が500億円を出資し、海外展開を行う企業を支援。


5 コンテンツの海外展開促進
 1) 国際化の支援
 ・総務省・経産省等がコンテンツのローカライズ、プロモーションを支援(J-LOP)。
 ・経産省・総務省・文科省が国際共同製作を支援。
 ・外務省・総務省・経産省等がコンテンツ現地化、放送枠確保を促進。
 2) 放送番組の海外展開
 ・aRmaが放送コンテンツ権利処理を迅速化。
 ・放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)を設立。

6 模倣品・海賊版対策の強化
 1) 模倣品対策
 ・経産省、外務省、財務省、警察庁、農水省が政府間協議、取締り、情報提供等を実施。
 ・IIPPF、ACA、CIPPなどの団体・フォーラムが官民連携施策を強化。
 2) 海賊版対策
 ・経産省、文科省、総務省が侵害対策を強化。
 ・CODA、レコード協会が違法コンテンツ対策を強化。
 ・中国政府との協議継続、税関・警察・権利者間の相互連携、正規コンテンツの流通促進、などが課題。

コンテンツの海外展開は、ようやく勢いがついてきました。放送番組も音楽も権利処理の円滑化や正規版ネット配信などに力が入れられています。aRma設立により、放送コンテンツの二次利用の権利処理が効率化し、作業時間は3割減になったそうです。しかし、映画の輸出実績が2012年には前年比8%減少となるなど、コンテンツ全体でみると、一筋縄ではいきません。

上記施策のうち、ぼくが直接関わったのはTokyo Crazy Kawaii Paris。実行委員長として海外発信に務め、稲田朋美クールジャパン担当大臣にもパリにお越しいただきました。でもこれは政策としてはあくまでサブ。海賊版対策など行政が本務として注力すべき対策を強化しなければなりません。

知財本部の資料によれば、コンテンツ市場11.2兆円に対し、コンテンツ関連産業は22.2兆円(ネット関連13.4兆円、広告1.9兆円、メディアハード5.0兆円、キャラクター商品1.9兆円)。倍の規模があります。さらに、これを日本の輸出総額64兆円にいかに波及させるか。コンテンツだけでなく、他の産業も含むヨコ展開が不可欠になっています。この問題も、前回の議論と同様、よりマクロに戦略を立てる必要があります。

会議では多くのコメントがありました。

迫本さんは、日本が送り出したいものを出すよりも、先方の望むものを出すべきであり、マーケットに目を向けるべきだと指摘します。クールジャパン論で繰り返される点です。コンテンツの海外展開は経済だけでない国益に寄与するものであるとしつつ、民間主導で行うべきであり、国は基盤整備に徹すべきとします。

重村さんは、継続性を強調します。韓国が90年代後半からコンテンツ輸出に力を入れていますが、コンテンツ振興院が一括して長期にわたり施策を展開していることを指摘していました。そう、本気なんですよね。

瀬尾さんは、コンテンツを先兵として、コンテンツを売るよりもコンテンツで売る視点、しかも現地で制作してモノを売るという視点を提示しました。コンテンツに閉じない大きな視野が必要、ということです。

どれもそのとおりと考えます。

ひとまずこの会議は政府の施策を検証・評価することが任務ですが、まずは失敗も含めて検証し、次のプランを立てる必要があります。同時に、コンテンツに閉じず、分野横断、省庁横断の幅広い戦略を論じなければなりません。

正直申し上げて、ここ数年で政府の施策はずいぶん厚くなりました。かなり手が打たれていると申し上げてよい。さまがわりです。ところが、制度にしろ、予算にしろ、その打った手が正しいのか、効果的なのかというと、実に心許ないことも確かです。

ゲームを次に進める手を打っても、実は相手チームが入れ替わっていました、実は種目が変わっていました、という事態が起きたりしています。

明日の宿題をこなしつつ、来年の受験に備えていく、受験する学校がなくなってるかもしれないので、それも想定しつつ、明日の宿題をこなす、そんなかんじで、引き続き取り組みます。

要するに、成果あげろ、つうことです。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年4月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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