今、溢れるほどのお金があれば何をするか? --- 岡本 裕明

2014年04月24日 10:40

珍妙なタイトルに私らしくない、と思われるかもしれません。

もしも多くのごく普通の日本人にこの質問をすれば何と答えるのか非常に興味があるのです。

独身の男性ならお気に入りの「自動車」や趣味のグッズ、若い夫婦は「住宅」でしょうか? では、自動車を買ってどうしたいのでしょうか? 彼女を乗せてドライブ? それとも表参道で見せつける?


住宅を買う人は引き続き家具やインテリア小物も併せて買う傾向があります。で、ようやく落ち着いた家をどうしたいでしょうか? 親せきや友人を呼んでホームパーティー? 自分だけの憩いの空間づくり? それとも友達に自慢する?

では、車も家も持っているあなたなら溢れるお金をどうしたいでしょうか?

グルメ、旅行に趣味の消費三昧、寄付という人もいるかもしれませんね。

この質問の意味は物質の所有欲の次に何が来るか、という人間の基本行動を基に経済的影響を考えると日本や世界経済の行方を考える指針になるのではないかという仮説を立ててみたいのです。以前、ある方とこのような話をしていた時、アブラハム・マズローの「欲求段階説」の話ですか、と聞かれ、そうとも言えるし、それともちょっと違うもっと現実的な社会を足し合わせたものと自分では想定しています。

私がもし、溢れるほどのお金があれば、自分が今まで未経験だったり興味を持たなかった世界を覗いてみたいと思います。私には車も家もあります。かといってグルメ三昧になるほどバンクーバーにうまい店があるわけではないし、食事は食べる質と同時に席を囲む人々との雰囲気のバランスが大事だと思っています。それより私が具体的に興味あるのは茶道や歌舞伎などの日本古来の文化、芸能への入門や日本の「城」ももっとみたいと思います。時間があれば世界の古典的な名著をじっくり読んでみたいですね。旅行なら旧満州、ブラジルにポーランドとイスラエル。まぁ、普通の人には興味なさそうなところだと思いますが。

こう考えてみると物質的欲求というのはマズローの5段階の2番目である「安全の欲求」がある程度確保され、次の段階に進んでいるともいえ、私の例も含め、多くの人は3段階目の「社会欲求と愛の欲求」(=所属意識など)や4段階目の「承認の欲求」(所属グループの中で認められる)に向かっているように思えます。つまり、「…自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される」(ウィキより)となり、それを満たすために補完的に物質が必要になる、ということでしょうか?

例えば美しい桜の写真を撮って友人とシェアしたい、あるいは思い出のアルバムに残したいと思えば、良いカメラが欲しくなるでしょう。もちろんカメラのメカに興味がある人もいるでしょうけどカメラとは基本的に写真を撮りたい人の補完財です。

以前、私は日本の駅前繁華街の絵図はいつか変わる、書かせて頂きました。家電量販店が跋扈する意味がなくなる日が来ると考えています。それはECの普及が今後、もっと当たり前になるからで、人々は買い物に行く時間をエステやスポーツジム、仲間との時間の触れ合い、あるいはスポーツ観戦や美術館や劇など文化に接しながら、同じ興味を持つ人たちとの共有する時間を追い求めていくのではないかと考えています。

秋葉原や池袋のサンシャイン通り、新宿2丁目といった個性的なエリアに集まる人々は明らかに同胞を求めています。これが成熟化した日本の経済を支えていく新たな柱になる気がしています。

とすれば不動産事業を営む私としては10年後、20年後のライフスタイルの変化を見据え、どのような不動産活用が今後の日本に求められるのか創造しなくてはいけなくなります。例えば8年前に完成したバンクーバーの商業不動産事業においてテナントはすべてサービス業にしました。サービスの一部業種はインターネットで代替できないからです。

そして、今、東京では新しいスタイルのシェアハウスを施工中です。不動産を賃貸か所有かという概念から、ライフスタイルの概念において家族、おひとりさま、そして疑似家族のシェアという切り口に変わっていくとみているのです。

お金があれば何をするか、という素朴な疑問から案外、深い考察ができるものですね。私のビジネスはいつもこんな切り口なんです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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