「面白くもおかしくもない」日本市場 --- 岡本 裕明

アゴラ

「Sell in May」というのは5月から約半年ぐらいは株式市場は弱気になりやすいという言い伝えですが、1950年から今日に至るまで6割以上は上昇しているデータとなっており、むしろ、この数年、取りざたされてきた話のように思えます。理由はいろいろあるようですが、ファンドマネージャーは成績でボーナスが決定するため、利益確定というより「成績確定」させるために売る、というのもあったりします。

今年がどうなるかこれは市場に聞いてみなくてはいけないのですが、どうもかなり弱気になっているように見受けられます。


まず、市場の「誤算」は日銀のスタンスではないでしょうか? 異次元の金融緩和を期待していた市場はいつまでたってもその福音を聞くことは出来ず、4月30日の金融政策決定会合後の黒田総裁の説明は2015年、16年とほぼ2%の物価上昇率を期待できるとしています。一方で総裁の「現時点で緩和の出口の時期を特定するのは時期尚早」との発言の意味は市場へのリップサービスのつもりかもしれませんが、言い換えれば更なる緩和はもうない、とも聞こえます。

市場参加者のスタンスは消費税引き上げに伴い、日本には再び景気の暗雲が漂うという「読み」があり、それを補うために日銀は第二弾の緩和を行うだろうというシナリオを描いていました。ところが需給ギャップはほぼ埋まり、労働市場はミスマッチがあるものの極めてタイト、消費税引き上げも軟着陸で「読み」は外れたように見えます。もっともこの日銀の強気の先行き予想に対して民間の専門家は強気すぎると批判が出ていますが。

次に政府の動き。

まずは安倍首相の動きですが、オバマ大統領との日本での会談はご本人はご満悦のようですが、ニュートラルにみると海外の取り上げ方は小さく、その成果はよくわからないというのが正直なところです。その後、ウクライナ問題で日本がロシアに対して制裁を科したことでロシア側から「失望」されてしまいました。安倍首相はあちらこちらから「失望」されるようです。ドイツのメルケル首相とは傷を舐めあったということでしょうか?

戦略特区も東京23区の中で「選に漏れた区」から嘆き節が聞こえてきます。その筆頭が池袋を擁する豊島区でしょうか? 私もあれっと思ったのですが、池袋の北口は中国人街と化しつつあります。大型開発可能な土地がないと言われていますが、北口は隙間だらけ、西武デパートの南側もいくらでも開発余力はあります。戦略特区に選ばれたのは23区でもすでに完成された感のあるエリア。私にはセンスが違うと思います。

消費者金融業界が踊らされたのは金利の上限や総量規制に対する緩和の検討という話。数年前に設定したこの規制をもう緩めるのかと取るのか、あの規制はやりすぎ、政府の関与はもっと小さく自己責任のルールを明白にするべきと取るのか、いずれにせよ、今の政府にしては面白い検討だと思った矢先、閣僚が海外詣をしている中で留守番係の麻生副総理があっさり否定し、撃沈してしまいました。

企業決算の成果はまちまち。最高益から市場の期待を裏切るものまでありますが、株式市場がここまで元気をなくしてしまったその本当の理由とは飽きっぽい外国人投資家が「やっぱり日本だねぇ」と言いながら興味をなくしたことがもっとも大きな理由に思えます。打ち上げ花火に対して時間がかかった挙句、具体化する案は官僚と政治家が折衷に折衷を重ねた案で外国人投資家からは面白くもおかしくもない結論なのかもしれません。もっとも行政はハリウッド映画ではないのでそんなこと、期待されても困るともいえますが。

中国は自国経済のことでこのところぐっと静かです。韓国は国内問題でしばらくは紛糾しそうです。なのにもかかわらずわが日本は北方領土問題解決への前進も黄信号が点滅、TPPももうしばらくかかりそうで甘利大臣からは「早いところ終わって楽にさせてもらいたい」とのつぶやきが聞こえてきそうです。

こうなると株式投資家も気が気でない日々を過ごさねばなりません。このゴールデンウィークの連休も天気とは裏腹に悶々と過ごす方も多いのかもしれません。市場にもスカッとした春の陽ざしがほしいものですね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年5月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。