船長とオボちゃん ~ 大阪で考えたこと --- 山城 良雄

2014年05月09日 07:20

やっぱ、アゴラは凄いわ。自分だけでは整理しきれてない思想でも、批判やコメントを読みながら進めると形になってくる。細野嗣雄はんがおっしゃるように、STAPなんかの科学ものと比べて、船長ものは、足下がふらつくような記事になっておると自覚しているけど、もうちょっと付き合ってな。


連休中、新たな鬼畜疑惑が出てきた。2000tのバラスト水のうち1500tを捨てて、代わりに荷物を過積載していたということらしい。7000t弱の船でこんなことをしたら、重心が数mも上がる。これに荷崩れが加われば、ちょっと傾いただけで簡単に転覆する。

過積載は常態化。船長は出港時からご承知や。MASA_HIGEはんがおっしゃるように、【乗らない】のも有りやけど、逃げ切る自信さえあれば、ひと商売しようとするヤツもいる。こういうの世界中で今後増えるんやろな。

事故がおこり、大型の救命筏には目もくれずに、船長は救命ボートに突進や。救命筏が機能しないこともに知っておったようやな。犠牲者の携帯動画からも、船が傾いてからも「動くな」のアナウンスが流れていたことが確認されている。

前の記事に書いた、「故意に乗客の避難を妨害する目的で非情放送を流した」という鬼畜仮説が現実味を帯びてきたように思える。もし、これが事実なら、「未必の故意」による殺人罪での船長の立件を検討している捜査当局話は甘過ぎということになる。どう考えても「確定的な殺意」やろ。

しかし、それでもなお、ワシとしてはあの船長に、ただならぬ魅力を感じている。これを、ピカレスクロマンとおっしゃるラグはん。ワシもて、正直、この言葉を出すかどうか迷ったが、どうも違和感があった。

学生にピカレスクロマンの意味を聞かれたら、「ルパン三世の爽快感」と答えることにしている。そやけど、あの船長は爽快にはほど遠い。フィクションと違って、現実の事故を無責任には見ておられんということもあるが、全てを投げ捨ててパンツ一丁で逃げる男を、爽快とはさすがに言いにくいで。ピカレスク的なのは、常人が思いつきもしないほどの悪事だけ。こういうのを何と呼べばええのか、ワシにはわからん。

記事の別のところで、日常業務で鬼畜に走る「ナチスの収容所の職員」を出したが、イメージしたのは、中原 亨センセご指摘の「ミルグラム実験(アイヒマンテスト)」やった。けども、例の船長と反対側の話やから、くどくならんように、あっさり書いてしもた。これは説明不足やったな。

さて、大阪嫌いの青柳康憲はんの「『大阪出身の兵隊は、敵側からタマが飛んで来て、状況が不利になるとみるや、一目散に敵前逃亡をしていた』という真しやかな話。長文のコメント、ありがとさんどす。

不勉強と言われたらそれまでやけど、ほんまにワシには思いもよらんかった。こういう、「勇敢で命知らずの旧日本軍」という神話に反する話は、やはりメジャーではないと思うがどうなんやろな。

ちなみに、こういう悪口(?)を大阪人は全く気にせん。むしろ「さすがはワシらの先祖や」と喜ぶやつが多い。とにかくお上に逆らうのが英雄。下手をすると、脱税あたりでもヒーロー扱いりする土地柄や。「あいつアホや。税金払っとるがな」……って、なんでやねん。

そいういえば、ディズニーのシュレックは大阪弁やった。力づくででも権力とは距離を取るという点が大阪文化に合うんやろな。ワシが、あの船長に魅力を感じるのも、こういう所なのかも知れん。

船長なんやから乗客の命を守るのは当然のこと。当然のことだからこそ無視して逆方向に走る。世の中の期待にだけは絶対に応えない。凄いやつや。そういえば、ワシにとって同じような存在がもう一人おる。オボちゃんや。

ワシの復帰後、PVの多かった記事は、この二人のものや。ワシの他の記事にはない熱気を自分でも感じる。オボちゃんが、自分の職場相手に、あそこまで攻撃的になれるのは凄い。弁護士は連れてくるわ。芸能人じみた記者会見は開くわ。ファイティングポーズ満開や。

たとえて言うなら、キングコングのスイカ割り、オウンゴールのハットトリック、自分のアジトを吹き飛ばす地産地消の自爆テロ。明らかにパワーの使い方が間違っておるやろ。もし、これだけの闘志と粘着性を研究活動に向けていれば、STAP細胞なんぞ簡単に見つかりそうなもんやがな。

しかも、このケンカ。勝ったところで彼女にとって良いことはあまり無い。勝ってオボちゃんが得るものが10なら、理研が失うものが100ぐらいは確実にある。逆に負けても、オボちゃんが10失って、理研が100失う。引き分けなら、理研だけが50ぐらい損をする。

だいたい、研究者や勝負師、評論家など、意地をはることを商売にしている人間の揉め事は不毛になることが多い。話をくどくするのは得意中の得意やけど、落としどころの見つけ方は子供なみやからな。

理研もたまったもんやないが、日本の科学技術全体の損失はさらに計り知れん。ノーベル賞の山中センセにまで火の粉が飛んで行ったがな。オボちゃん一人で、日本の研究者の卵を100個ぐらいは粉砕している。どうせ、リケ女に浴びせるなら「冷や水」やなくて、「紅茶ぐらいの酸」をぶっかけて、万能ガールにでも生まれ変わらせてくれや。

でも、この感じ。なんかええなぁ。船長といい、オボちゃんといい。方向性のない破壊が社会を改良することはない。そやけど、閉塞感満点の社会が壊れる前には、たいていは派手な花火が上がる。幕末の「おかげ参り」や「えじゃないか」を持ち出すのは、あまりにも陳腐な議論やとも思うが、そんな感じせんかな。

そうそう、決めぜりふの前に大阪からもう一言や。Tetsuzo Matsumotoはんのコメントを読ませてもろたけど、大阪弁でものを書くなら、池乃めだか師匠は、必須アイテムやと思うがのう。それともワシが年寄なんかな。

今日はこれぐらいにしといたるわ(by池乃めだか)。

帰ってきたサイエンティスト
山城 良雄

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