日本で長期投資が根付かない理由の1つは「投資家の高齢化」 --- 内藤 忍

2014年05月18日 15:00

毎週読んでいる日経ビジネスの最新号(2014.5.19号)の「「老化」進む東京市場」というスペシャルレポートに興味深い事実を発見しました。

日本証券業協会の調査によると株式投資をしている人の年齢構成は

60代以上 53.1%
50代 21.4%
40代 15.7%
30代 8.6%
20代 1.1%
無回答 0.1%

となっているそうです。60代以上が過半数という驚くべき比率です。


また今年から始まったNISA(少額投資非課税制度)の開設口座数約500万のうち、こちらも6割を60歳以上が占めるというデータもあります。

若年層の資産形成として長期投資を促進することを目的に作った制度が高齢者中心のものになってしまっている状況です。

投資家がこのように高齢化していると、長期投資が普及しにくくなります。本来は60歳であっても、まだ余命は20年以上ありますから、本当は資産形成を長期で続ける必要はあるはずです。しかし、20代、30代に比べれば、長期投資をするインセンティブは明らかに小さくなりますし、リスクを取る必要も取る余力も無くなってきます。

だから、高齢の投資家が増えれば増えるほど、投資信託の商品構成は毎月分配型が増えていきます。長期で元本を成長させることより、目先で定期的に分配金をもらえる方が良いと考える人が増えていくからです。

そうなると高い分配金を出せる投資先として、豪ドル債や低格付けのハイイールド債、新興国株式などに、資金がシフトしていきます。毎月分配型投信の平均分配金利回り(1年間の分配金合計を投資額で割ったもの)は10%以上。これは実質的に元本の取り崩しを分配金に充てなければ達成できない数字です。

このまま投資家の中心が60代のままだと、10年すればメインプレイヤーは70代になり、さらに高齢化が進みます。

日本で長期投資が広く普及しないもう1つの理由は、学校で資産運用を教えないことです。金融リテラシーを身に付ける機会が無いまま、大人になってしまいお金の勉強をするチャンスが無いのです。

「高齢化対策」と「投資教育」。どちらも、実効性のある対策を実現するのはハードルが高そうですが、このまま放置しておけば、日本の投資家の「老化」はさらに進み、これまで以上に投資家の投資行動が偏ることになります。

高齢化対策に私ができることはありませんが、投資教育に関しては、これからも個人投資家の皆さまに誠実に有益な情報を提供していきたいと思います。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年5月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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