行き先のないマネー、危機は再来するか --- 岡本 裕明

2014年05月27日 12:07

世の中の動きを見ていてなにかスカッとする気持ちになれないと感じる方は私だけではないでしょう。踊り狂うような好景気ではないのにアメリカでは株価が史上最高値をつけ続けるのは明らかに金融緩和を通じたマネーの偏在と実体経済との遊離のような気がします。

日本でもブタ積みと称する市中銀行の法定準備金以上の余ったお金が日銀に預けられている状態で使う目途がない資金ともいえるのです。


中国でバブルが大きく膨れ上がったのはいつからか、といえば2008年のリーマン・ショック後の中国政府の56兆円に上る大金融緩和政策がきっかけだったと言っても過言ではないでしょう。中国の場合、その資金は見事に箱ものと鉄道などのインフラに回り、民間の不動産ブームにも火をつけました。そして一時期下火になったその火勢をまた煽り続け現在の不動産バブル形成につながります。

中国のバブルはいつ崩壊してもおかしくないとか、野村證券に至っては「既に始まっており、その深度がどこまで進むか問題だ」(意訳)としています。その中国はウルムチでのテロ事件が相次ぎ、民族闘争を力で抑えこもうとする習近平国家主席のメンツ問題となっています。同様に太平洋側でも各種報道の通り様々な軋轢を起こしているのであります。とすれば中国には実体はかなり悪化してとてつもない次元の問題が生じないとも言えないのが現状だと思います。

個人的には世界経済を順風満帆にするならば中国経済はソフトランディングすべきだと思っています。それは既に忘れかかっているかもしれませんが、ギリシャ問題を必死で抑え込もうとしたユーロ圏のあの努力をもう一度振り返るべきであります。あの頃、統一通貨ユーロの弱点が強く指摘され、ユーロの崩壊がまともに取りざたされていました。しかし、英知で乗り越えた今、PIGGSの株価は回復の基調を取っているもののそれに対して誰もあの時の大騒動を「我慢してよかった」と評価する声はありません。

しかし、ソフトランディングするにはあまりにも難しい条件が重なり、習近平国家主席がいくら高い能力を備えていたとしても権力闘争を行いリコノミクスがもはやどこかに行ってしまった中国において思わず、うーんと唸ってしまいたくなるような状況であるのです。多分ですが、これが今、世界の投資家がもっとも頭を悩ましているところではないかと思います。

お金は潤沢にある、だけどどこに持って行って良いかわからない。とりあえずアメリカの株式市場は活況だからそこで短期の勝負をしている、というように見えるのです。そのもう一つの理由にアメリカの長期国債の利回りが下がっていることには要注目かと思います。

バーナンキ前FRB議長が金融の量的緩和からの脱却を示唆した13年5月から長期金利は1.6%から9月にはほぼ3.0%近辺まで上昇してます。ところが今年の初め以降、明らかに長期金利は下落基調をたどっています。これは株高にもかかわらず債券相場が堅調であるという意味でリスクオフのモードがそこに存在しているのであります。では投資家は何を恐れているのか?

私の想像ですが、中国経済の軋みが及ぼす世界経済への影響ではないかと思います。そして経済のみならず、ロシアとの接近を演じてみたり、太平洋をめぐるアメリカとの微妙な関係を含め、地球儀ベースで「嫌な」気がするのです。それが今日明日ではないけれどさほど遠くない時期に起こりうるということでしょうか?

不安を煽るようですが、世界は数年おきに必ず大きな問題を起こしてきています。嵐は必ずやってくると考えるならば日本が今しておくこと、準備しておくことはいろいろ思い浮かぶのではないかと思います。日本が吹き飛ばされないよう、しっかりシートベルトを締めておいた方がよいのでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年5月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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