米5月新車販売台数、なぜ高級車がけん引したのか --- 安田 佐和子

2014年06月04日 12:08

米5月新車販売台数は、ビッグ3だけでなく日本車も含め勢い良く加速しました。ドライブ・シーズンの幕開けとともに、ついに購買意欲に火が点いたようです。

オートデータが発表した米5月新車販売台数は、年率1670万台と前月の1598万台を超えました。市場予想の1610万台も上回り、2007年2月以来で最高を示現。2月を始め、年初の3ヵ月の不振は大寒波と積雪が敗因だったことを証明しています。

自動車業界が金融危機後の破綻を乗り越えただけでなく景気後退以前の水準まで回復が進むなか、全米自動車労働組合(UAW)は5月新車動向の発表日に合わせ、会費の引き上げを決定したんですよね。実に47年ぶりといいますが、この時期を選んだのは納得。

以下、メーカー別動向です。

▽ビッグ3

・GM

前年同月比12.6%増の28万4694台>市場予想の6.4%増

単月では2007年以来の高水準で、販売台数としては2008年8月以来で最高を達成している。ブランド別ではシェビーが14%増、ビュイックも11%増と2桁増を記録。GMCも8.3%増、キャデラックも6.4%増と寄与した。GMCとキャデラックは、2005年以来で最高を果たしている。GMは2014年見通しにつき、1650万台と2007年以来の高水準を維持した。

・フォード

前年同月比3.0%増の25万4084台>市場予想の0.2%減

ブランド別ではリンカーンが21%増と強い伸びを達成しており、なかでも「MKZ」は過去最高を記録。フォードも2.5%と全体を支え、小型車「フュージョン」およびスポーツ多目的車(SUV)「エクスプローラー」も単月ベースで2005年以来で最高を達成している。

・伊フィアット傘下のクライスラー

前年同月比17%増の19万4421台>市場予想の14%増

前年比超えを約4年近く維持し、単月ベースでは2007年以来で最高を達成。特にブランド別ではジープが58%増と好調を保ったほか、フィアットが18%増、ラムも17%増とドッジを除き2桁増を遂げている。

▽日本車動向

・トヨタ

前年同月比17%増の24万3236台>市場予想の8.1%増

ブランド別ではトヨタが16.5%増の21万3615台だったほか、レクサスも21.1%増の2万6921台と好調を維持。トヨタでは主力の「カローラ」が30.8%増と2009年8月以来の高水準だったほか、「カムリ」も26%増と強い。

・ホンダ

前年同月比9.0%増の15万2603台>市場予想の4.5%増

ブランド別ではホンダが9.8%増の13万7928台、アキュラは2.2%増の1万4675台だった。

・日産

前年同月比19%増の10万3934台>市場予想の11%増に

単月で過去最高を打ち立てた。日産が17.8%増の12万5558台となり、特に「リーフ」が46%増とけん引。インフィニティも31.4%増の1万376台と加速した。

▽高級車動向

・BMW

BMWグループのうちMINIを除く「BMW」ブランドが前年同月比17.3%増の2万9602台となり、年初来で初めてメルセデス・ベンツからトップの座を奪取。年初来でも12.2%増の12万7181台と、メルセデスを追い抜いた。なお今回から、話題の電気自動車「i3」の出荷が開始し、336台を計上した。

5月に入り、BMWがメルセデスを逆転。

bmw

(出所 : Autotest)

・メルセデス・ベンツ

前年同月比7.7%増の2万6617台。米国の高級車部門別で2013年に悲願の1位を達成し2014年も年初来から4ヵ月連続で首位を走っていたが、5ヵ月目で陥落した。年初来では6.5%増の12万5118台なる。

・アウディ

前年同月費11.4%増の1万6601台と、単月ベースで41ヵ月連続で過去最高を更新した。販売台数としては、過去2番目の高水準となる。年初来では、11.4%増の6万7842台だった。

▽その他

フォルクスワーゲン

前年同月比15.4%減の3万2163台と、8ヵ月連続で減少した。小型車が2桁減少しただけでなく、スポーツ多目的車(SUV)の新型モデル不足、マーケティング戦略の欠如が足を引っ張った。

・ヒュンダイ

前年同月比8.5%増の13万994台と、単月で過去最高を示した。

以上をご覧になって、お気づきになりましたか? ドイツ御三家からキャデラック、レクサス、インフィニティを含め高級車動向の伸びが著しいんです。景気が良くなった証拠なのでしょうか?理由は、3つ考えられます。

第1に、住宅買い控えに裁量支出の拡大が挙げられます。金利上昇、住宅価格の高騰で購入できないなら、財布の紐も緩んで高級車に乗り換える気持ちも弾むことでしょう。

第2に、家計債務が減少していただけに、十分借り入れの余地はありました。CNBCが分析ツール提供大手エクスペリアンの自動車部門のデータを引用したところ、1-3月期に6-7年物ローンを組んだ自動車購入者は4人に1人。統計開始以来で最高だったんです。

第3に、低金利が挙げられます。消費者はいつまで続くか分からない低金利に乗じて、よりリッチな自動車への買い替え意欲が高まった可能性が。長く暗い冬が終わりを告げたにも関わらず4月の新車販売台数が年率1600万台割れにとどまった半面、5月に1610万台へ増加した背景に、貸手が米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策を見極めたかった様子もチラホラ垣間みれます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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