日本の報道機関は「論理的」ではない

アゴラ編集部

よく「第四の権力(The Fourth Estate)」といわれる報道機関なんだが、それだけ世論や国民の考えに強い影響を与える、ということです。時に報道機関は、戦争へ駆り立てるようなプロパガンダの発信装置になったりする。第二次世界大戦前、朝日新聞や毎日新聞などの新聞、文藝春秋などの雑誌が「自発的」に「一億特攻」を煽っていたことは有名です。けっして軍部に強要されたからではありませんでした。


そもそも報道機関は、その前身の多くを通信社に求めることができるんだが、ナポレオン戦争でどちらが勝つか投機し、伝書鳩の情報で大儲けしたロスチャイルドの例に漏れず、通信社は世界中の正確な情報より早く手にすることを目的に設立されたわけです。報道機関はその出自から営利的な存在であり、世界最古の報道機関であるAFP通信社の前身を立ち上げたシャルル・ルイ・アヴァスに対し、こうした理由でロスチャイルドが資金を出していたのも有名な逸話でしょう。

戦前の日本でも満州事変後に朝日や毎日は戦争報道により部数を倍に増やし、単なる戦争報道からいつしか積極的な戦争賛美、戦争煽動へ傾倒していきます。そこには「公正公平中立を保ち、国家権力に屈せず常に国民の利益のためにある」という報道機関の理念はすでになかった。戦前日本の報道機関にこの理念があったかどうか疑問なんだが、どうやらこの立場は「売らんがため」の商業主義や功利主義に容易に打ち負かされるらしい。こうした生まれながらのヘソの緒や尾てい骨を引きずっている報道機関が、論理的であるはずはありません。

いずれにせよ、当時はまだ世界が二項対立で単純明快でした。今は国民の政治意識が混濁し、価値観が多様化するなど、「公正公平中立」を明確に際立たせにくい時代でもあります。「国民の利益」のための報道、と言っても、いったい何が「国民の利益」になるか判断が付きにくいことも少なくない。米国の後ろ盾も何やら怪しくなってきた。

今の日本ほど、報道機関の役割が求められる時代もありません。しかし、国民のあやふやな情緒や一時の熱狂のようなものに迎合し、部数や視聴率が伸びればそちらへ転ぶ、というのは日本に限らず、一般的に報道機関の宿痾のようなものでしょう。ネット上で「マスゴミ」などと揶揄されるように、日本ではその「唯我独尊」や特権性、閉鎖性などを批判されることもあります。

さらに「テレビ局内定者」騒動のごとく、そこに「エリート意識」が根を張り、まず「結論ありき」で伝えるべき内容を論理的に吟味せず、主張すべきテーマを論理的に考えない、という状態が続けば、いくら異論反論の対立メディアが林立していても、何かの具合で「大政翼賛報道機関」に先祖返りするのは目に見えている。権力者は総じて「論理的」ではありません。ヘソの緒や尾てい骨を引きずっているので当然です。「第四の権力」と呼ばれるのは屈辱侮辱だ、くらい言うメディア人がどこかにいないもんでしょうか。

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当コーナーでも先日「ドローンが「出歯ガメ」ご用達に」というエントリーを上げたんだが、今、熱戦が続いているW杯でもドローンが「暗躍」しているようです。フランスチームが、自軍の非公開練習がドローン(遠隔操縦の無人飛行体)で観察されていたんじゃないか、とFIFAに苦情を訴えたらしい。これは、FIFAがそれに対して調査を開始した、という記事です。これからも、相手チーム、ファン、メディア、などなどがドローンを活用するようになるでしょう。


アゴラ編集部:石田 雅彦