一般的潮流は「所有から利用」へ --- 岡本 裕明

2014年06月22日 13:18

音楽を自分のディバイスにダウンロードせずネット上のクラウド上から直接楽しむスタイルが普及しています。クラウドが普及してきた理由は様々あるかと思いますが、自分のパソコンの中にソフトからデータまで取り込んでおくリスクを回避するという大きな理由がそこに存在するでしょう。それといつでもどこでもディバイスがあれば情報や自分のデータが取り込めるというのは実に便利なのです。私も業務内容から自分のスケジュールまでクラウド管理が主流になっています。それは所有しない気楽さがあることや自分のパソコンが壊れたら情報を引き出せなくなるトラブルを防ぐ目的もあるのです。


本。捨てられる人、自分の財産ののようにためておく人、様々だと思います。私は時折、二度読み、三度読みをするので貯めておく人なのですが、このまま蔵書が増えればどうなるのか、とやや不安感を持っています。もしもすべての図書がクラウドで保存できて書き込みをしているところが好きな時に引き出せればそれの方が100倍便利だと思います。

ところで皆さんは中古の製品を買ったことはありますか? 私はあまり好きではなかったのですが、どうしても手に入らない本などは中古をゲットします。が、最近、もう一つ、気にならない中古があります。それはDVD。なぜ、気にならないかといえばDVDに書き込まれている「信号」を中古で買っているだけで画像が中古という発想がないからだと思います。

自分の中で中古、シェアを許容する発想がどんどん広がっていく気がしています。私ぐらいの年齢は所有欲が強かったのですが、若い人たちは衣服でも中古OKという方は多いと聞きます。そこには所有する価値より利用する価値に重きを置いているということでしょうか?

女性で洋服やアクセサリーを大量に衝動買いしてしまう人は私の周りにも何人もいます。それこそ「イメルダ夫人」状態で家の中はそれらのもので溢れているのだろうと想像しています。事実、彼女たちは値札がついたまま何年もクローゼットに入った服、一度しか使ったことがないバックなどがごろごろしているようですが、これらが所有欲なのか、ストレス解消買いなのか判断がつきかねるところでありますが。

世の中全般に「所有から利用」へという動きは今後、更に強まってくるかと思います。

旅行に行ったらレンタカー。これはもはや必須の手段であります。何故、そこまで運転していかねばならないのか、ましてや帰ってくる手間を考えれば飛行機なり新幹線なりで主たる目的地に移動し、さっと車を借りることがもっとも理に適っています。では、自分の軒先に車を確保すべきか、という点についてはまだ所有の方が有利です。理由は乗りたいときにさっと乗れるからでしょう。しかし、例えばマンションで十分な台数のシェアカーがあり、いつでもさっとその車にアクセスできるとしたらあなたは車がもはや必要なくなるかもしれません。

家でも同じでしょう。数年に一度、自分のライフスタイルを変えたいと思う人は多いものです。私もバンクーバー着任当初は1~1年半に一度引っ越しし続けました。いろいろな住宅を経験したかったからです。結婚する、子供ができる、親のそばに住まねばならないなど人生の間に大きなライフスタイルの外的変化は何度も来るものです。その時、住宅ローンをたんまり抱えた家が邪魔になることは必ずあるのです。

世の中の構図は提供する側と利用する側、そしてそれを介在する人という役割の中に納まってきていないでしょうか?

なぜあなたは家を買うのか、と聞けば老後の心配をしたくないからという理由が大きいでしょう。日本の持ち家率は62%程度(総務省、平成22年)。世界水準もその程度です。私は今後この比率は下げトレンドに入るとみています。持ち家政策は国家の基本政策の一つで政府の後押しがあるものです。しかし、結果としてフレキシビルのない住宅を抱え込み、挙句の果てに相続で面倒な思いをさせられるなら所有ではなく、住むところが確保される政策に切り替えるのも時代の流れかもしれません。

音楽はCDが売れなくなってもコンサートの動員数が圧倒的に増えています。この変化の意味あいを考えるとライフスタイルの変化は我々の想像以上のマグニチュードがありそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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