スマホとウェアラブル端末は新たな次元に進む --- 岡本 裕明

2014年06月25日 12:47

アマゾンのファイアーフォン(Fire Phone)。宣伝文句を見る限り、かつてテレビのSF番組で見た別次元の商品が我々の手もとに届こうとしています。同社が6月25日からアメリカで売り出すスマホは約2万円ながら、多くの人が少なくとも一度は手にしてみたいという衝動に駆られるでしょう。それは3D表示というおもしろさもありますが、それよりも世の中の欲しいものや音楽を内蔵のカメラやマイクでスキャンすればワンタッチでアマゾンから購入できるようになるという異次元の機能であります。


目の前の物体や音を具体的な品目として特定できる能力は将来、あらゆる方面に応用できることになるかもしれません。例えば、多くの人が集まる中で自分の探している人を特定したり、忘れかかった相手の人の名前を表示したりすることもできるかもしれません。少なくともアマゾンのファイファーフォンはそんなアメリカらしい夢をもって市場に参入します。

数あるスマホメーカーが低価格路線を敷き、仁義なき戦いをしている中でこのような機能を持たせた商品は「指名買い」に繋がりやすいことは様々なマーケテターや経営の専門家が指摘したことです。この商品、AT&Tの携帯の契約に抱き合わせですから我々の手に届くには今少し時間がかかりそうですが、アメリカで一定の市場の過熱があれば日本を含む外国へ販売を開始すれば確実なヒットが期待できるでしょう。

一方、日本のエプソンも眼鏡型のウェラブルを一足早く市場に参入します。「モベリオ」と称するメガネはその眼鏡越しの景色に様々な情報が上書きされるシースルー型というものです。報道によればゴルフの残りホールまでのヤードが分かるとか、道案内で矢印などを表示する、修理などの作業の際その手順を示してくれる、といった使い方があるとされています。

私が思う使い方は映画の字幕、講演やプレゼンテーションの際のキーワード、カラオケの歌詞カード、話し相手の名前や特徴、イケヤの家具の組み立て手順、パソコンやスマホなどの使い方の表示、スポーツ観戦で選手名を特定するなど相当奥深い応用が考えられると思います。

アマゾン、エプソン共、それこそ世の中の景色がすっかり変わる商品になるともいえるのです。

一方で時計型のウェラブルはいろいろなものが出始めていますが、案外、焦点が絞れていないという気がいたします。最近、1万円を切る時計型の商品が広告に出ていましたが、悪く言えば安物のクォーツ時計の宣伝のようでした。それはちょっとした業者なら簡単に作り出せる仕組みと腕時計型の応用範囲の限界のようにも見えます。ジョギングや健康管理といった限定用途は思いつくのですが、腕時計というファッション性の追求のところで詰まってしまう気がします。

スイスのスウォッチといえば泣く子も黙る時計業界のドンのような会社ですが、同社のCEOは時計型ウェアラブルは流行らないし開発もしないと断言していました。それはそうでしょう。特に男性にとってほぼ唯一の身に着ける貴金属商品としてスイス高級腕時計を支えてきたスウォッチですから数万円のディバイスに負けたくない気持ちはよくわかります。そして私個人も多分ですが、特定用途を別にして腕時計を諦めてディバイスをつけたいとは思わないでしょう。もっとも私の知り合いで頭の先から靴まで合計で1万円程度のものしか身に着けていない高収入者がいますが、彼は時計はしていません。理由はスマホの時計を見るから、とのことで、人の価値観はいろいろありますので断言はしないことにしておきます。

こうやって新たに商品が開発されてくると必ず廃れてしまうものも出てきます。ゴルフ場のカートについているヤーテージが分かるGPSシステムなどはその存亡の危機を迎えるのでしょうか? ある意味、時代の移り変わりに敏感にならないとビジネスをしている者にとって商売が突然行き詰るということもある時代になったとも言えそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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