クルマに求められるのは圧倒的イノベーション --- 岡本 裕明

2014年06月27日 19:00

究極のエコカーと言われた燃料電池の車がついにトヨタから今年、市販されるようです。実験車は10数年前から走っていたことを考えれば汎用技術の確立と共にインフラの整備に時間がかかっていたようにも思えます。また、ハイブリッドは石油エネルギーの車であるのに対してその後、電気自動車が市場に登場し、燃料電池車と同じ電気動力である点で研究を重ねていたように思えます。つまり、満を持して、ということではないでしょうか?


排出されるものが水だけというのですからこの車が遠い将来、世界標準になる可能性は否定できず、それこそ、カリフォルニア州や欧州に見られる厳しい環境規制など政府の実質的な後押しがその普及を促進させることになるでしょう。

但し、今の段階では人々が飛びつくことにはならないと思います。

まず、よく言われるインフラの問題があります。現在水素ステーションは100か所もないこと、また、トヨタも大都市圏での販売を中心とすることからルート販売などを商用車目的の車などからまず普及が進み始めることになるかと思います。電気自動車の充電所は当初いろいろ言われたものの普通充電所が7500、急速充電も2500か所以上あり、充電所が毎月三桁ずづ増えていることを考えれば便利になりつつあることは否定できません。

一方、水素ステーションの場合、建設費が数億円かかり、今後そのコストダウンを図り1~2億円まで抑えるとされていますが、それでもその投資額は大きく、電気自動車の充電所のような手軽な普及は見込めません(但し、満タンで走れる距離が違うのでステーションも電気自動車ほど必要はありませんが)。このインフラ拡充の時間が当面ネックになるのでしょうか?

二点目に水素の価格であります。これは現時点で燃費効率に換算すればガソリンよりやや安い程度に留まります。電気自動車のような10分の1といったレベルとは比較になりません。長い将来的にはバイオ技術などで価格が下がるとされていますが、それが数年のうちに達成できるわけではありませんから今、燃料電池車を買う人にとって燃料という動力費はガソリンよりちょっと安い程度にしかとどまらない点に留意が必要です。

多分、メディアもこの点はほとんど触れておらず今後はガソリン車、HV車、電気自動車、燃料電池車の様々な比較が登場すると思いますが、一般の人が気にするコスト的にはまだ燃料電池車は勝負にならないでしょう。

日本もアメリカも自動車に対する発想はいかに低コストで長く使えるかに変わってきています。車を10年乗る時代になったというのは技術的も内装や外観、装備にしても20、30年前のような日進月歩の発展がみられなくなったことも大いにあります。私も欲しい車がないから今の車をずるずる乗り続けているのですが、最近思うことは6年前の車と最新の車で何が違うかといえば実用面ではほとんど差がないのであります。

つまり、人々が新しい車を買いたいと思わせる衝動は圧倒的な変化がなければ案外無理なのではないでしょうか?

電気自動車の普及のカギがその充電にあったように燃料電池車もその水素スタンドの普及が決め手になる可能性は高く、また、水素の価格がどれだけ下げられるかも普及への弾みのキーだと思います。

そうはいってもHV車もトヨタプリウスが市場を席巻していることを考えれば今回のトヨタ初の燃料自動車もさすが、と言わせるものがあります。このあとホンダも発売すると思いますが、日本の自動車業界が新たなる商品を開拓し続けることにもっと大きな意味があるでしょう。

あとは電気自動車でテスラが作り上げたようなイメージが富裕層を中心として普及の開拓者となるようにすることがマーケティング戦略で重要になってくるかと思います。

期待したいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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