政治家を目指した渡邊美樹氏の言動は株主への背任行為か --- 渡辺 龍太

2014年06月30日 11:53

6月29日に、上場以来初めての赤字を計上した、ワタミの株主総会が開かれました。そこで、創業者の渡邉美樹氏が、「『ブラック企業との風評』が広まり、居酒屋の客足だけでなく介護や食事宅配サービスの売り上げにも影響した」と陳謝したそうです。

この発言は、ワタミの業績が急降下した原因の一つがブラック企業との風評であると、渡邉氏が認めた事になります。では、その風評の原因を作ったのは何かといえば、渡邉美樹氏のメディアでの言動に他なりません。


過労死した社員のいる企業の社長が、社員に向かって『24時間死ぬまで働け!』とか『窓から飛び降りろ!』と発言したいうのがメディアに出れば、世間のイメージは悪化する以外に考えられないと思います。

しかし、渡邉美樹氏はメディアに出続けて自らの発言を肯定し、まるでワタミがブラック企業と世間から思われたいかのごとく、過激な発言を続けました。そんな事をすれば、将来的にワタミの業績悪化に繋がる可能性がある事は予測できそうですが、渡邉氏はブレませんでした。では、なぜ渡邉氏は、それでもメディアに出続けたのでしょうか。

その理由は、自身が世間に強烈に名を売って、政治家になりたかったからとしか思えません。そして、その視点で考えると、『渡邉美樹=ブラック企業の代名詞』となる事に、意味が見いだせるのです。

渡邉美樹氏は参議院比例代表選挙で、個人名で約10万票を集めて当選しました。つまり、全国の有権者の中から、たった10万人が投票すれば議員になれるという計算です。言い換えると、フワッと多くの人に広く浅く人気がある人よりも、『渡邉美樹に必ず投票したい!』という熱狂的なファンを獲得した方が政治家になりやすいという事になります。

渡邉美樹氏の作戦を推測してみましょう。ワタミの創業者、そして郁文館の理事として、一般的な立候補者と同じように、『政府は規制緩和が足りない!』などと経済や教育の事を語っていたら、渡邉美樹氏は敵も作らなかったでしょうが今の様なキャラ立ちはしなかったはずです。すると、渡辺氏は数多くいるビジネスに強い系の選挙立候補者の一人となってしまい、そういった候補者と、ビジネス系の人に投票したい有権者の票の奪い合いを繰り広げる事になってしまいます。

一方で、渡邉美樹氏が今の様に『ブラック企業キャラ』、というのを確立させたらどうでしょうか。世間的には、嫌われ者となるかもしれません。しかし、全国に多くいるブラック企業経営者、あるいは、『最近の若者は昔に比べて軟弱だ!』という意見を持っている中高年以上の世代の心には、強烈に響くものがあるというのは予想できます。つまり、この方式では割合的には多くの人に嫌われますが、確実に投票所で『渡邉美樹』と書いてくれる熱狂的な有権者を確保する事が出来るという計算になります。

とはいえ、もし本当に渡辺氏が自分が政治家になるために、ワタミを赤字にさせても構わないと思ってメディアでブラック発言を肯定していたなら、これは上場企業であるワタミの一般の株主への背任行為とも言えるのではないでしょうか。過労死を出しても何も思わない様な発言が平気な顔で出来る方なので、自分のやりたい事の為に他人が払う犠牲についてなどは、何も考えなかったとしても不思議ではない印象ですが……。

さて、結局のところ、渡邉氏以外には真実は分かりません。しかし、選挙の為にあえて渡邉氏がメディアで『ブラック企業キャラ』を確立しようとしていたという考え方以外に、あえて渡邉氏がワタミという企業が世間から嫌われる様な発言を、メディアで繰り返していた理由が見当たらないような気がするのもまた事実です。

渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
Twitter @wr_ryota
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2014年6月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。

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