グローバル市場で存在感を増す中国企業に日本はどう向き合う?

2014年07月09日 14:45

フォーチュン誌が発表した2014グローバル500の売上高ランキングで、小売業のウォルマートが昨年の2位から再びトップに返り咲いていますが、それよりも目につくのは中国企業の台頭です。中国企業は、もはや世界の製造工場つまり下請けという段階から、グローバル企業へと進化し、成長しはじめていることを感じさせます。
Global 500 2014 – Fortune


ちなみに、トップのウォルマートに続くのが、ロイヤルダッチシェルですが、中国企業としては初めて石油化工集団(シノペック)」が3位にはいり、中国石油天然ガス集団(CNPC)が4位、国家電網が7位と、トップ10に中国企業の3社がランクインしています。しかも、500位以内にランクインした中国企業は、昨年の89社から6社増え、95社となりました。台湾・香港・マカオの企業も含めると100社が中国系企業です。
2005年のグローバル500では、500位以内にはいっていた中国企業は16社に過ぎなかったので、この10年にいかに中国企業が台頭してきたかがわかります。

トップ500社にはいったアメリカの企業は、昨年よりも4社少ない128社で、日本企業は、トップ10では、トヨタが昨年の8位から、フォルクスワーゲンに抜かれて9位となり、500位以内に入ったのは、昨年よりも5社少ない57社でした。

こういった中国のグローバル企業の台頭は、決して悪いことではなく、それだけ中国経済がグローバル市場の秩序に組み込まれていくことになり、基本的には世界各国との協調にむかわざるをえなくなってくることです。

それよりも問われてくるのは、日本の産業のあり方のほうです。産業の競争力はもちろん売上規模だけの問題ではありませんが、産業の競争力を失い、経済の成長力を失うと、国そのものの存立すら揺るがす怖さがあります。1980年代を振り返ると、日本やドイツの圧倒的な台頭で、アメリカ経済は深刻な打撃を受け、ソ連にいたっては国家が崩壊してしまいました。

アメリカは、製造業で失った競争力を、金融やITなどで争点を変え、経済の再建をはたしましたが、日本はまだまだ、モノづくりを極めればなんとかなるという発想から脱却していません。ものづくりを極めて競争力を維持できる製造業で健闘している企業はありますが、それは分野が限られています。

モノづくりということでは、いかに日本が高度な技術やノウハウを持っていようが、それを極めようが、時間が経てば、やがてキャッチアップされます。そのことを韓国企業との競争で思い知らされました。技術やノウハウを、ブラックボックス化し、見えなくしても、いずれかの穴から漏れてしまいます。しかもモノということでは、中国はすでに貿易額でアメリカを抜いて、世界一に躍り出ているのです。

そして東京大学の川島博之准教授が、日本と中国は産業のあり方が似ており、経済対立を生みやすく、日本が劣勢になってきていると指摘されています。政治的な対立はわかりやすいのですが、それよりも先に経済的な対立が起こり、政治での緊張をもたらしてきているという視点です。
中国との対立は経済面の方が深刻? 「フルセット国家」同士の争いで日本が劣勢に:JBpress(日本ビジネスプレス)

日中の対立の原因を、領土や歴史認識を巡っての感情のもつれや言葉の行き違いに求めることは正しくない。対立の根源には「フルセット国家」同志の経済的な対立がある。

 フルセット国家とは、資源やエネルギーは輸入するが、その他の全ての産業を国内に抱えようとする国家である。日本は町工場が作る食器からロケット、飛行機、またできれば全ての農産物を自国で作りたいと考えている。それは中国も同じである。

そして日本の貿易赤字の急激な増加の大きな原因のひとつに、中国との競合、とくにEU市場における中国との競争に敗れたことも大きいとされています。

一方、EUとの貿易は2008年には4兆1000億円の黒字を計上していたものの、2013年には6000億円の赤字に転落してしまった。これは、ユーロ危機に伴いEUの景気が低迷して輸入量が減少したからとも考えられるが、景気減速だけが原因ではないようだ。それは、同じ時期に中国からの輸入が急増しているためである。EUの中国からの輸入額は2008年は716億ドルであったが、2012年には2866億ドルにもなっている。2150億ドルの増加であり、1ドル100円とすると21兆5000億円だ。日本からの輸入額の減少をはるかに上回っている。

その視点に立てば、日本が過去の成功体験から抜け出し、中国や韓国とは次元の異なる新たな競争力を生み出していくことがほんとうの日本の課題だということになります。ガチンコの競争は決していい結果を生みません。まずは、安倍内閣の成長戦略で新しい競争力を生みだすベクトルや気運が高まってくることに期待しますが、焦点は、どれだけ早く日の丸特攻隊にすら見える「モノづくり神話」から卒業できるのかではないでしょうか。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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