なぜ小保方氏はES細胞を盗んだのか

2014年07月28日 12:03

きのうのNHKスペシャル「STAP細胞 不正の深層」を録画で見た。「おさらいだ」と批判を浴びるのはしょうがないが、気になったのは肝心のES細胞の話をきちっと詰めてない点だ。

STAP細胞と称するサンプルのDNAが若山研究室のES細胞と同一で、彼女の研究室の冷凍庫にも同じES細胞があった。ここまでは既報だが、そのES細胞をどこから入手したのかが問題だ。この番組では、元留学生が電話で「私は渡していない。驚いた」と話していた。


これだけでは決め手にならないが、彼女の冷凍庫にあったES細胞が若山研究室のもので、誰もそれを渡していないとすれば、彼女が盗んだと考えるしかない。例の突撃インタビューはこれを質問したのだろう。しかし傷害事件になったため大幅にカットしたものと思われ、表現があいまいになっている。

だからなぜ若山研究室のES細胞が彼女の冷凍庫にあったのかが焦点だ。若山研究室とは行き来があったようだから、人のいないとき盗むのはむずかしくなかっただろう。それは若山研究室が山梨大学に移動する前だと思われるので、引っ越しのときの記録を見ればわかるはずだ。元留学生の証言が電話になっているところを見ると、放送直前にわかって取材する時間がなかったのかもしれない。しかし

  • 彼女が「STAP細胞ができた」といって若山氏に渡したのは、彼の研究室に保管されていたES細胞だった

  • 同じ若山研究室のES細胞が小保方研究室の冷凍庫から出てきた
  • 誰も彼女にES細胞を渡していない

という事実が確認されたとすると、偶然の取り違えは考えられない。彼女も会見で「ES細胞の混入はないように研究環境を管理した」と言っているので、事故の可能性もない。

もう一つの可能性は、何者かが彼女を陥れるためにES細胞を盗んで彼女の研究室の冷凍庫に入れたことだ(常識的には冷凍庫に証拠を残すことは考えられない)。彼女が「私は冷凍庫に入れなかった」と弁明すれば、第三者がやった可能性もあるが、取材を拒否したので、その可能性は消えた。

しかし大事な部分で突撃に失敗したため、最後は一般論で終わって、クレジットも入っていない。緊急報道ならともかく、5ヶ月もかかった番組でクレジットが入らないのは異例だ。責任者が追及されるのを恐れたためだろう。彼女がインタビューを拒否した映像を出すだけで事実は伝わるのだから、無理な取材はすべきではなかった。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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