日本が「観光立国」になることには大きな意味がある --- 岡本 裕明

2014年08月04日 11:43

政府が必死になって進める訪日外国人数の年間2000万人達成。2013年に悲願の1000万人を達成したばかりですが、その手は緩んでいません。1月から6月の訪日外国人数は実に626万人となり前年比実に26%も増えているのです。円高、ビザ発給緩和、免税店などが効いていると思われ、国別の増加率では中国の88%をはじめ、タイ、マレーシア、フィリピンが63%増で並び、その他の国もロシア以外二ケタ増となり、唯一のマイナス国が韓国でありました。

このペースで行けば年間1300万人も視野に入ることになり、2020年の2000万人達成に向けて順調な足取りになるかと思います。

但し、私はそろそろ観光客向けインフラが満杯になるとみており、このあたりの整備が今後、2000万人の早期達成のみならず、日本経済をサポートする非常に重要なキーになるとみています。


日本経済をどのようにして維持していくか、大きな議論となっていることはご承知の通りです。少子高齢化の上に貯蓄率が実質マイナスになっています。目先の総需要はどうにか総供給にキャッチアップし、消費力減退の汚名は挽回できそうですが、長期的に見れば果たしてどうなのでしょうか? 少子化となっても日本は豊かさを維持できるという意見もありますが、日本のインフラと社会整備基盤の規模と維持コスト、さらには諸外国とのお付き合いの中で世界のリーダーたる日本のポジションを維持するための一定の支出と経済規模は必要になってくるのではないでしょうか?

総需要を引き上げるもっとも現実的な方法は移民であり、アメリカやカナダがその成功例でありますが、日本の歴史は北米諸国のそれとはまるで違う位置づけであります。また、個人的には日本が仮に移民を受け入れるとしても移民はまず来ないだろうと思っています。日本人が外国人を受け入れたがらないと同時に諸外国の人からすれば日本に移民したいと思う魅力は欠けていると思います。北米のようなオープンマインドと移民を国家経済の重要な経済基盤をなすという尊敬の念がありませんし、諸外国へのメッセージとしても聞こえてきません。

北米において移民を重要視するのはその人の稼ぐ力と消費する力であります。カナダでは移民7人で家が一軒必要になるとされ、年間20万人を超える安定した移民流入がいかに国家のGDPに貢献しているかが想像つくと思います。

日本が移民を受け入れず、製造業は空洞化の傾向が止まらないとしてこのままそれでも放置してよいのでしょうか? 50歳程度の年齢から上の方々はよいでしょう。が、残された人たちはかなり工夫をしないとこの国を維持できなくなります。個人の金融資産が国の借金を上回っているという議論もありますが、それはアセットの問題で私はフローの問題が重要だと思っています。

アメリカでは耐用年数を超えたインフラ、橋や道路が放置され、時々崩落するニュースも聞こえてきます。日本は鉄道、道路をはじめ、箱モノ行政が作り上げた国家ですのでそれら箱を維持するためのコストは今後膨大なものになるのです。例えば東京に唯一ある都電。この車両で古いものはなんと昭和30年代前半に作られたものなのです。55年ぐらい経っているのにいまだ現役というのはインフラに資金を回せない苦しさともいえるのです。

この日本が平和的に需要を伸ばし、内需を育成するには訪日外国人といかに付き合っていくか、これは数少ない切り札の一つではないでしょうか?

そのためには訪日外国人が長期的に滞在する仕組みづくりを通じて日本経済を支えるというのは重要でしょう。例えば諸外国ではセカンドホーム、サードホームを持つ富裕層はごく当たり前。そんな需要を日本のリゾートで開拓するために外国人がそのような住宅を所有しやすい仕組みを作り、マーケティングをすることも重要でしょう。日本は観光=最大1週間程度の駆け足旅行というイメージがあるかと思いますが、旅行のスタイルは明らかに変質化しています。バケーションのハウスエクスチェンジなども欧米ではごく普通になってきています。滞在先は限られたホテルのみという選択肢は私が昔ソ連で外国人専用宿舎のみしか泊まらせてもらえなかったのと同意ともいえるのです。

訪日外国人の増加は日本にとっては願ってもない内需の拡大のチャンスであります。私も2年程度先に外国人向け宿舎を東京に作ってみたいと考えています。そこには全く新しいビジネスのスタイルと発見があると信じています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年8月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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