SONYは代ゼミの『捨てる』勇気を参考にすべき --- 渡辺 龍太

2014年08月25日 22:07

フリーニュースディレクターの渡辺龍太です。ちょっと衝撃的な感じがした、代々木ゼミナールの予備校ビジネスの縮小について考えてみます。


まずは、代ゼミがどれくらいの改革を行うのか見てみましょう。

代ゼミ、センター試験の自己採点集計も中止へ : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 来年1月の大学入試センター試験の自己採点結果集計・分析は実施しない。模試の分析データは受験生や高校の進路指導などでも参考にされており、影響は大きい。

 代ゼミ広報企画室によると、全国27校のうち、来年3月末で閉鎖するのは、仙台や横浜、京都、熊本など20校。本部校と、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡の各校、造形学校(東京)の計7校に集約するという。

 4月以降は、「センター試験プレテスト」や「国公立2次・私大全国総合模試」などの全国模試を廃止。大学入試センター試験の自己採点結果を集計・分析し、志望大学の合格判定などを示す「センターリサーチ」は2013年度、全国で約42万人が参加したが、とりやめる。「東大入試プレ」など個別大学志願者向け模試は、存続の方向で検討している。

42万人もの学生に影響が出るのに、それを決定し実行する代ゼミの決断と実行力は凄いとしか言えません。そして、当然、これだけビジネスのダウンサイズをするわけですから、人員整理も行われます。

代ゼミ、校舎の7割閉鎖へ 400人規模で希望退職募る:朝日新聞デジタル

現在、少子化の影響で、子供たちの数が減っています。さらに、不景気やAO入試などの理由もあって、浪人する生徒自体も減っています。そもそも、定員割れを起こしている大学が沢山ある中、今までと同じでは予備校ビジネスが上手く行くはずがありません。

だからといって、代ゼミがビジネスの敗者になってしまったと思っていたら、それは大間違いの可能性が非常に高いです。恐らく、代ゼミは儲からなくなる予備校ビジネスから撤退しようとしていて、儲かる別のビジネスを収益の柱にしようとしているだけの可能性が高いのです。

そもそも、少子化などは、昨日や今日に始まった事ではありません。なので、実は代ゼミは10年前とも30年も前から予備校ビジネスから撤退しようとしていたという話があります。代ゼミの校舎が、どうなっていくのかを見てみましょう。

【驚愕】代ゼミの恐るべき先見性。予備校から不動産会社に華麗な転身か。既に実績多数。 : 大人のまとめ新聞

20~30年前頃までの建築(校舎)はホテルやオフィスビルに転換し、それ以前の古いものは建て替えになっているように見受けた。しかも名古屋の場合は、古い校舎をより巨大な新建築に建て替えたうえで大半をホテル化するという思い切りの良さだ。

このように約30年前より最近のものは「最初からオフィスやホテルへの転換を見越している」という噂の通り、実際に建物が用途転換されていることが分かった。

出生率ピーク時に少子化を予測?代ゼミの先見性

こうした用途転換がスムーズに進んでいる理由としては、以下の3つが考えられる。

・不動産は基本、自社グループで保有(高宮学園、JECなど)
・立地は基本、駅前の一等地(土地を隣り合わせに取得し、一体再開発に備えている?ケースも)
・更にオフィス、ホテル用途に転換しやすい形状で床面積も確保できる大型ビルとして建設

BPA JAPAN

創業者の高宮行男氏は、「予備校が儲からなくなれば、さっさと転業して結婚式場でもホテルでもはじめる」と発言したとも言われており、この代々木ゼミナール縮小については、すでに10年前から想定していたという声もある。

『今でしょ!』で有名な林修先生が教壇に立つ東進予備校の様に、売り上げ規模で業界トップから大きくはなれている小規模な業者は、予備校業界が縮小していても売り上げ拡大の可能性はあります。

しかし、業界のトップである代ゼミには、予備校ビジネス全体が縮小していく中で、売り上げを拡大する余地はありません。そうなると、ビジネス拡大を考えると、予備校業界から、徐々に違う事をメインに据えるという戦略に自然になっていくのでしょう。非常に見事な経営と感じます。

さて、一方で赤字続きで凋落ぶりが激しい、SONYのホームページをのぞいてみましょう。

広告ギャラリー | 液晶テレビ BRAVIA ブラビア | ソニー

もっと自由で、もっと刺激的な映像体験を届けるために。
彼らは、これからもテレビをつくり続けます。

10年も赤字続きで、どうしようも無いSONYのテレビ事業は本体から分社化されて、再建しようとされています。しかし、黒字化ニュースは全く聞きません。それにも関わらずSONYは、これからも過去に成功体験があるからとテレビを作り続ける事を宣言しているのです。これでは、当分SONYの復活は無いという印象を受けてしまいます。

復活の為には、SONYは代ゼミの様に、スピード感たっぷりに今持っている色々な過去のスタービジネスを捨てる必要があるはずです。

一部メディアなどでの指摘があるように、まず、赤字続きのテレビ製造ビジネスなどは売却してしまうべきでしょう。他にも、今は最新のプレステの売り上げは絶好調ですが、スマホ時代にテレビにつなげて行う家庭用の据え置きゲーム機というのはどこまで生き残るのでしょうか。任天堂さえ赤字続きな訳で、これだって手放しても良いビジネスの一つかもしれません。

幸い、PCブランドのVAIOは最近ようやく手放しました。でも、売却時期が遅かった為か、売却額が安くなってしまいました。それだけ『捨てる』という経営選択は難しいのかもしれませんが、その決断のスピード感というのも非常に重要です。

そうやってスリムになって事業売却で資金を得て、SONYの持っている音楽や映画などのコンテンツ関連を核にした、『最先端』のネットビジネスが中心に据えて再出発すべきなのではないでしょうか。逆にそれ以外に、力強い復活はあり得ないと思います。そのためにも、SONYは代ゼミの様に『時代に合わない儲からないビジネスからは撤退する』という勇気を持つべきだと思いました。

渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
Twitter @wr_ryota
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2014年8月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。

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