万策尽きた海江田民主党 --- 關田 伸雄

2014年09月02日 16:02

◆薄い国民の関心

政治の世界は、このところ安倍晋三首相が9月3日に行うと明言した自民党役員人事、内閣改造の話題一色となっている。

石破茂幹事長が安全保障法制担当相への就任を「政策的な立場の不一致」を理由に忌避したことを受け、自民党内は地方での人気が高い石破氏の最終的な去就と後任の幹事長人事を軸に熱い季節を迎えている。

これに対し、野党第一党の民主党はどうなっているのか。

海江田万里代表は9月26日に召集が見込まれる秋の臨時国会前に両院議員総会を開いて党役員人事を行う方針で、臨時国会では集団的自衛権の行使を限定容認する閣議決定の撤回を求めて戦う方針だそうだ。


離党した小沢一郎氏が率いる生活の党との再合流をも視野に入れた国会での統一会派結成など野党再編もとりざたされているようだ。

しかし、大畠章宏幹事長の去就が焦点となるとされる党役員人事にも、生活の党などとの野党再編にも、国民の関心は向いていない。

政権を失ってからも民主党に理解を示してきた一部マスコミですらこれらの記事の扱いが小さいことが、そのことを立証している。

◆万策尽きた「反安倍」勢力結集

海江田氏の戦略は、消費税率の引き上げやアベノミクスの失敗による経済的な失政、集団的自衛権行使限定容認の閣議決定への世論の批判を背景に、「反安倍」勢力の結集をはかり、統一地方選や次期国政選挙で政権交代の足場をつくろうというものだ。

集団的自衛権行使限定容認の閣議決定の直後には、安倍政権の支持率が一時低迷し、海江田氏は「最近の自民党、安倍政権は一年前、いや半年前の状況と大きく変わっている。これまでの破竹の進撃のエネルギーが落ち、変化の胎動が見えている。安倍政権の支持が小さくなっているということは、今の政治に対する、国民の不安や不満や危機感が増しているということだと思う。問題はその受け皿に民主党がなれるかどうかだ」と自らの戦略の正しさを強調してみせた。

ときあたかも、党内に代表選前倒し論が渦巻き、海江田氏自身、代表として一年間の総括と進退を問われていた局面であり、安倍政権の一時的な失速のおかげで、海江田氏は「首の皮一枚つながった」(民主党中堅)とされる。

海江田氏は代表続投が一応確定したことを受けて、集団的自衛権行使限定容認の閣議決定について「現時点では必要ない」としてきた自らの見解を微妙に軌道修正し、「集団的自衛権行使容認できません!」「閣議決定を撤回すべし」というのぼり旗をバックに国民運動を展開しようとしている。

だが、党内には安全保障政策に詳しい議員を中心に「集団的自衛権の行使一般に反対するのはおかしい」という意見が根強く残っており、海江田氏のリーダーシップがどこまで通用するかは不透明だ。

「反安倍」勢力の結集以外、海江田民主党に戦略はない。安倍政権の支持率が再度低下しなければ浮き上がる可能性がない万策尽きた状態と言っていい。

◆せめて解党的出直しを

本来、衆院への小選挙区制導入を柱とした政治改革の狙いは、政権交代可能な二大政党制をつくりだすことだった。

民主党が一時期政権の座についたことで小選挙区制の制度としての機能は証明された。しかし、民主党政権は政策的な内部矛盾の噴出と相次ぐ失政によって自己崩壊した。

「選挙制度を変えても政党そのものが変わらなければ本当の二大政党制は実現できない」というのは当初から言われていたことだった。

地方選挙の実態をみればその国の政治風土は理解できる。都道府県知事、市区町村長のほとんどは無所属を前提にしている。地方議員についても共産党や公明党を除いて、保守系あるいは革新系の無所属であり、会派も土地それぞれの事情を反映して一様ではない。

こうした現実を踏まえると、この国に二大政党制が根付く可能性は現時点では極めて低いと言わざるを得ない。

与党と野党のどちらが勝ったのかわからない統一地方選を政権交代への足がかりにしようとすることもナンセンスといえる。

鳩山、菅、野田で民主党政権は終わったと考えている有権者は少なくない。せめて、解党的な出直しによって基本政策を含めたすべてを見直し、有権者との対話を通じて信頼を築き上げていく。そういう民主党になってほしいと考えるのはおかしいだろうか。

關田 伸雄
政治ジャーナリスト


編集部より:この記事は「先見創意の会」2013年9月2日のブログより転載させていただきました。快く転載を許可してくださった先見創意の会様に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は先見創意の会コラムをご覧ください。

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