2人目のエボラ出血熱感染者の看護婦、飛行機で移動事実を確認 --- 安田 佐和子

アゴラ

アメリカで初めてエボラ出血熱患者となり死亡したリベリア人のトーマス・エリック・ダンカン氏、彼の治療に携わった医療関係者を中心にあらためて「エボラ・アウトブレイク」への警戒が台頭しています。

テキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院に勤務する看護婦、ニナ・ファム氏(26歳)が12日にアメリカで感染した患者第2号となっただけではありません。ファム氏の同僚らしいアンバー・ビンソン氏(29歳)も14日に陽性を確認。しかもビンソン氏、微熱を覚えながら10日(一部メディア派8日とも報道)にオハイオ州クリーブランドへフロンティア航空1142便で向かい、13日に同地からダラス=フォートワース行きのフロンティア航空1143便で移動していたという衝撃的な事実が明らかになったのです。ビンソン氏は、結婚式の準備に向け母親に会いに出掛けたといいます。当然、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、は乗客者に対し1-800-CDC-INFOへ連絡するよう訴えているところです。

CDCのトーマス・フリーデン長官は、会見で「(ビンソン氏は)渡航すべきでなかった」と遺憾の意を表明。同時に「彼女は嘔吐、出血といった症状を確認しておらず周囲が感染したリスクは極めて低い」と述べ、混乱回避に努めています。

テキサス州ダラスで死亡したダンカン氏の婚約者を含む関係者48名が10月15日段階で発症していない事実が横たわる一方、今回の報道はアメリア人のセンチメントを著しく冷やす懸念が高まります。

ワシントン・ポスト=ABCが14日に明らかにした世論調査では、65%がアウトブレイクを懸念。91%の圧倒的多数が空港での厳正なる審査が必要と回答していました。さらに、67%がエボラ出血熱が蔓延している西アフリカ諸国からの入国禁止を求めるとも回答しています。アメリカで最初に発症したリベリア人患者が亡くなる前の世論調査で入国禁止は58%だったことを踏まえると、いかに懸念が広がっているかが分かります。

約1週間後に、渡航禁止を望む声は58%から91%へ急伸。

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(出所:Washington Post/ABC)

帰らぬ人となったダンカン氏や今回感染を確認したビンソン氏が飛行機で移動した背景から「エボラ・アウトブレイク」不安が増大するのも、無理はありません。ただ航空株は、足元で下落トレンドにブレーキが掛かっています。ダラス航空こそ14日に7営業日ぶりに上昇に転じ6.1%高を達成した翌15日、再び1.3%安で引けました。ただしアメリカン航空は14日に10.3%高もの大幅反発を遂げたにも関わらず、15日に0.6%高と続伸しています。

ひとまず、悪いニュースでも航空株が持ちこたえたのは、ワシントン・ポスト=ABCの世論調査で「米連邦政府の対応を確信する」との回答が62%だったことと整合的です。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年10月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。