政冷経冷でも中韓の訪日観光客は増え続けている

2014年10月23日 12:49

海外からの旅行者数の増加は身近なところで実感している人が多いと思います。ほんとうにあちらこちらの観光地で、外国人の姿を見かけるようになりました。京都など、これまでも外国人観光客が多かったところも、さらに増えただけでなく、これまでは日本人しか来なかった観光地やお店でも姿を見かけるようになりました。「日本通」も増えてきたのでしょう。都心の百貨店や家電量販店の業績にも好影響がでてきています。


9月の訪日外客数が昨日発表されましたが、今年の1月からの累積で9,737,3000人が日本を訪れたことになります。海外からの旅行者数は、ビザの支給条件の緩和やLCC(格安航空)の便数増加の後押しもあって、はや9月で一昨年の1年の合計をオーバー。昨年の10,363,900人も10月には超える勢いです。
外客数

図は、昨年9月からの訪日外客数と対前年伸び率の推移ですが、伸び率がもっとも低かった6月でも17.1%と急成長していることがわかります。日本は、来日する人よりも、日本から海外にでかける人が多いのですが、今の伸び率で見れば、入国者数が出国者数を超える日もそう遠くはないように感じます。実際、関空では、入国者と出国者が今年逆転したといいます。
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関空の外国人客数、日本人を「逆転」 LCC増加やビザ緩和後押し (1/2ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)

とはいえ、海外からの観光客数は、日本は海外に大きく遅れをとっています。
2013年にやっと世界で第27位にランクインしたばかりで、アジア各国と比較しても、中国5,600万人、タイ2,650万人、マレーシア2,570万人、香港2,570万人には大きく水をあけられれ、マカオ、韓国、シンガポールをも下回っているのが現実です。

しかし逆に考えれば、豊かな自然や多様な文化資産、また社会の安定性や国民の資質から見れば、まだまだ海外からの観光を伸ばしていく伸びしろが大きいのでしょう。そのためには海外からの観光を産業化していく取り組みが欠かせません。

急増する中国人観光客。戻ってきた韓国人観光客

さて、今年の海外からの観光客数の伸びで、注目したいことが2点あります。国別に見ると、1~9月の累積では台湾がトップで、2位韓国、3位中国、4位に米国となっていますが、もっとも来日数が伸びたのが中国です。1~9月の累積で前年同期から79.8%も伸びただけでなく、7月以降は国別でトップに躍り出てきています。
しかも、7月に、中国からの訪日数が、日本人の中国への訪問者数を超えたことも注目したいところです。
もう1点は、竹島問題、また歴史問題などで国民感情が互いに反発しているはずの韓国からの旅行者が、7月以降、3ヶ月連続で前年を超えてきていることです。しかも9月には、前年から32.3%も伸びてきているのです。
台湾中国韓国

この点は、中韓の国民の日本に対する意識の変化が反映されてきていると見ることができそうです。アジア10カ国の親日度調査で、2014年はあきらかに好転してきていることを以前ブログで取り上げました。中韓の国民感情は、政治を先行して、「嫌日」や「反日」から変化の兆しが見られます。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : やはり中韓の「日本好き」が増えていた

しかも、旅行で訪日し、日本を体験することで、好意度がさらに高まり、それがネットで広がる善循環が起こってきているのでしょう。
また韓国もメディアが政府のプロパガンダの色彩が濃く、誤った日本に対する認識が広がっていますが、それも実際に日本を訪れ、日本の現実を知れば、さまざまな誤解も解けるきっかけになるのではないかと期待しています。

中国からの観光客が急増した原因は、LCC(格安航空会社)の便数の増加などによる価格の安さや距離的に近いこと、訪日ビザの有効期限を緩和といった点もあるのでしょうが、日本を体験した満足度の高さも大きいのだと思います。
中国の旅行会社が日本観光に積極的に力を入れ始めているのも、日本ではアジアの他の国とは別次元の体験ができるからでしょう。
中国人になぜ日本旅行が人気なのか=「安」「近」に加え「正真正銘の海外旅行先」:レコードチャイナ

日本で行なった調査でも、訪日した中国の人たちの約99%が「満足」と回答し、約95%が再訪の意向で満足度が高いのですが、中国の中国旅行研究院が2013年に行なった調査でも、日本は海外旅行先満足度で第8位とベスト10入りをしています。中国人観光客の多い、韓国、タイ、マレーシアはそれぞれ15位前後だったそうです。
訪日中国人の認識が一致、「旅行先の第一希望にはならないのに、行った後の評価は最高!」日本で感じた2つの印象とは?―中国ネット XINHUA.JP –

日本は「ものづくりで稼ぐ」から「投資で稼ぐ」、「サービスで稼ぐ」国への大きな転換期にありますが、観光産業は、その「サービスで稼ぐ」ことを促す大きな鍵になってきます。観光で日本を体験する人が増えれば増えるほど、日本の「ブランド化」も促進され、観光産業以外へも波及効果がでてくるはずです。

カジノを含む統合リゾート施設(IR)などもやっと議論が始まってきていますが、それからくる経済効果だけでなく、「サービズで稼ぐ国」への大きな投資だという視点で見ることも必要かと思います。

また日本への好感度が高まれば高まるほど、政冷経冷となってきている中国や韓国との関係改善にもつながってくるのではないでしょうか。その点でもビジット・ジャパン戦略が重要だと思います。

いろいろと政治の世界では暗い話題、がっかりする出来事が続いており、経済もアベノミクスの効果切れで、また閉塞感が広がってきそうですが、こういった明るい話題、日本の産業の進化のための種にも目を向けておきたいものです。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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