アベノミクスの終焉

2014年11月17日 13:28

キャプチャ今年の7~9月期のGDP速報値が、予想以上に悪かった。これを増税の影響だという人が多いが、それは誤りである。増税の影響は一過性なので、右の図(朝日新聞)の比較でもわかる通り、半年たつとGDPはプラスに戻るのが普通だ。増税率はほとんど同じなので、この差は消費税以外の要因と考えるしかない。

GDP統計の中身をみると、家計消費は+0.3%に回復している一方、住宅投資が-6.7%(年率-24.1%)と大幅に落ちたのがきいている。これは地価上昇を見込んで駆け込み的に行なわれた住宅投資の反動と、資材不足や人手不足が原因だろう。設備投資も-0.2%で、これは円安やエネルギー価格の上昇によるコストアップが原因だ。3%の消費増税より、2年で40%以上も上がったドルの影響のほうが大きいのだ。


キャプチャ他方、アベノミクスでもっとも期待されていた円安による外需の寄与度は、+0.1%だ。去年までずっとマイナスだったのがわずかにプラスに転じたが、ネットの効果はほとんどない。唯一の効果は、財政支出である。公的資本形成は、7~9月期も+2.2%になった。

要するに「輪転機ぐるぐる」でインフレ・円安にして景気を回復させようというアベノミクスのねらいは、空振りに終わったということだ。デフレ脱却で実質賃金が下がり、個人消費は落ちた。円安で企業のコストが上がり、設備投資が大きく減った。

民主党の枝野幹事長の「アベノミクスは株価を上げることには効果があっても、われわれの想像以上に実体経済に悪い影響を与えている」というコメントは、珍しく的確だ。金融政策は資産価格を動かすことはできても、GDPを引き上げることはできないのだ。

これで増税の先送りはほぼ確実だが、こんなボロボロの状態で解散・総選挙はできるのだろうか。野党が「アベノミクスの失敗」を攻撃し、日銀総裁の更迭を求めて選挙戦を展開したら、自公は過半数を割るのではないか。

追記:甘利経済再生相は、「在庫投資が減ったのがマイナスになった原因」といっている。在庫の増加は-0.6%で、これは生産を上回って消費が増えたということなので、景気悪化の原因は消費税ではない。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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