地球規模で進行しつつあるアメリカの経済支配 --- 岡本 裕明

アゴラ

今日はいつも以上にひねくれるかもしれませんがご容赦を。

金曜日のニューヨーク市場は大幅上昇で最高値更新となり、ブラックフライディーを一週間後に控え、まるで前夜祭のごとく盛り上がっています。アノマリー的にはこのブラックフライディー前は株式は堅調とされていますのでまさに感謝祭そのものであります。その大幅上昇の理由は欧州と中国の金融緩和姿勢であります。


中国は中国人民銀行が貸し出しと預金の基準金利を2年4か月ぶりに引き下げ、内需の振興を図る姿勢をみせました。また、欧州においては噂される欧州中央銀行の本格的な量的緩和についてドラギ総裁が講演で国債購入の準備をするよう指導したとあり、世界的な緩和姿勢が強調されたことでアメリカの市場は高騰したのであります。

御記憶にある通り、日銀がバズーカ第二弾を放った時、アメリカのダウは急騰、「日本サマサマ」「素晴らしいギフト」と素直に好感されました。ところが一部の報道ではあくまでも噂話として黒田総裁がバズーカを放ったのはアメリカとの出来レースではなかったのか、とあります。真相は闇ですが、なかったとは言い切れません。

この地球儀ベースのゲームを見ているとアメリカの量的緩和の終焉、日欧中の緩和姿勢という相対する動きで微妙なバランスを取っていることが伺えます。バーナンキ元議長の時、アメリカの量的緩和終焉プラン発表に対して新興国からドルが流出した事件を踏まえ、アメリカは周到な準備をしたと考えるのが妥当かと思います。それは「アメリカに代わる資金の出し手」であります。

もう一つ、11月4日の中間選挙でオバマ大統領と民主党は大敗、上、下院での過半数を共和党に奪われてしまいましたが、これはある程度事前予想通りでした。その際、私もこのブログで指摘したのですが、アメリカの富は金融を通じてユダヤが守り抜く、としたと思います。事実、イエレンFRB議長の手腕を今のところ見せつけられているという感じですが、フィッシャー副議長の存在も大きいでしょう。両ユダヤの巨匠がまさに世界のマネーをコントロールして、ユダヤの富をアメリカを通じて守り、アメリカの量的緩和の終焉と経済の再生を確実にするプログラムを作り上げているとしても言い過ぎではないでしょう。

もう一つは石油価格であります。下落する石油価格は77ドル前後となっていますが、11月27日のOPEC総会を前にサウジは減産しないのではないか、という見方が強く一部予想では60ドル台まで下落すると見込まれています。そこはもはや投機の世界となりますの私には幾らになるのかは想定できませんが、原油安競争がアメリカの景気回復の大きな原動力となっていることは事実です。

個人的には石油価格引き下げのトリガーはアメリカにあるとみてます。それはそれまでのサウジの価格決定権をシェールに湧くアメリカが奪取、ないしは今後相当の影響力を持たせるという事であります。つまり、経済を牛耳ることで世界の政治を牛耳る訳でオバマ大統領の最大の弱点である外交をユダヤの得意分野である経済の支配力でカバーするわけです。

ただ、私が石油価格は「投機」と言っているのは現在の水準を下回ることは既に利益やメリットが出にくい不毛の戦いとなり、あくまでも政治的ゲーム中でのバトルであっていつかは必ず逆流するという事であります。2008年に石油価格がバレル140ドルを超えた際、200ドルになると専門家は叫んだその直後、暴落し、30ドル台までつけたことを誰が予想したでしょうか?私はその頃から石油価格は80-100ドルが妥当と言い続けて(今でもそう思っています)いるのは生産価格を大幅にかい離する相場は思惑であって、必ず収斂するという投資の基本があるからです。

同じことは金(ゴールド)にも言えるのですが2週間前にはオンス当たり1150ドル前後とまれにみる安さをつけておりアメリカからは「輝きを失ったゴールド」などと揶揄され、ひどいものでは800ドルになるとまで書かれていました。私は金関連の投資を長年続け相場を見続けていますが多くの産金会社の生産コストは1250ドル前後でこのところの産金会社の決算は見事に赤字が並んでいます。また、生産調整に入り、買収先の鉱山の採掘を見合わせるなど「風が止むのを待つ」状態になっています。

今日は金相場も1200ドル台を回復していますが、何れ1200ドル台半ばぐらいにはこちらも収斂すると考えています。なぜなら金相場もユダヤにとっては重要な相場であるからであります。

アメリカにとって適度なドル高、資金のレパトリ(本国回帰)、株式市場を通じた投資マネーの活況、更にはドル高他国通貨安のメリットで今後企業買収がしやすくなるなどアメリカの優位性は世界で圧倒することになります。

つまり、政治とは裏腹にアメリカ支配の経済地図が着実に作り上げられているようにみえます。勿論、アメリカの人が皆、意図的にそう考え、そう動いているわけではありません。非常に限られた一部の人たちが動かす世界であります(それが成功するかどうかはわかりませんが方向性は少なくともそちらに向かっています)。

日本もその術中に完全にはまっているのでしょうか? ただ、はまってもおこぼれが頂戴できるとするならばそれで結構ですが私はこのままでは日本は制御不能になるかもしれないと危惧しています。その時、どうするか、ですが、アメリカが高い代償と交換に手助けしてくれることになるかもしれません。とすれば、世の中、非常に上手くできています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年11月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。