団塊ジュニア以下は公的年金を受け取るな!

2014年11月29日 14:07

衆議員選挙を前にして、与野党ともに消費税の増税を先送りし、また年金給付の削減(若年者からみれば負担の軽減)を訴える党がない中、経済評論家(研究者)が世に啓発するテーマのとして、日本の「世代間格差」が目立ち始めた。日本が抱える主たる社会問題でありながら、世代間格差の是正を政策に掲げて当選できる議員はいないから、政治的には問題先送りが結論として見えている、悩ましいテーマである。

そんな中、世代間格差論争の中で欠落している論点がある。それは、いまの40代以下が、そもそも公的年金を受け取る必要があるのか、という点である。

下図は、国立社会保障人口問題研究所が公表している、いまから約30年後の日本の人口“スフィンクス”の予測である。

2045年人口予測

30年後の日本がどのような姿をしているかの予測は困難だが、団塊ジュニア世代のボリュームゾーンが70歳前後になり、公的年金を受給する年齢に入ることはわかっている。団塊ジュニアより上の世代の賦課方式の公的年金を払うのは、いまの20代や大学生、小中高校生やそれ以下のこどもたち、あるいは今後10年間に生まれてくるこどもたち、というわけだ。

ここで、いま子育てをしている世代に問いたい。いまのこどもたちに、自分達の“老後”を支えて欲しいか。いま既に成人している世代は別として、いまのこどもたちに、将来の生活を本当に支えて欲しいのか。

30年後は団塊ジュニア世代が70歳前後の高齢者になるが、30年後は、いまの70歳前後の高齢者が置かれている社会環境とは、全く異なるであろう。まず、図でもわかる通り、団塊ジュニア以降は、後輩の数が先輩の数を常に下回る。つまり、後輩から“突き上げられる”ことがないのだ。よって、大企業でも中小企業でも、いまのように定年退職で先輩方に「引退」してもらう必要はなく(若年者が少なく、そうさせられない)、どの職場でも(制度のしがらみに固執しない限り)生涯現役で働ける。年金をもらって悠々自適の生活をするなど、一部の富裕層の特権であって、団塊ジュニア以降は基本的に死ぬまで働いて当り前なのだ。もちろん、30年後は働き方も変わるだろう。体力の要る仕事を高齢になっても続けるのは難しいかもしれないが(これも、人口筋肉の開発により、サイボーグ化が可能になるかもしれない)、知的生産性が重視される仕事なら年齢は関係ない。

高齢化すれば病気がちになる者が増え、医療費の公的負担が大きくなることが予測されるが、これは医療保険の問題であり、公的年金とは関係ない。現実に働けなくなる高齢者は増えるかもしれないが、生活保護の制度がある限り(それが現実に機能する限り)、餓死することはない。30年後にかけては人口が減り住宅も余っていくから、住まいに困る確率も減る。今後は公営住宅を整備する必要もなくなるだろう。30年後には、いまの団塊世代の方々は既に旅立たれ、日本の「高齢化」も止まる。30年後も維持しなければならない社会保障は、医療保険制度、介護保険制度と生活保護制度であり、公的年金は廃止しても問題ないはずだ。いきなり廃止するのは難しいだろうが、徐々に給付を縮小し、それに応じて徴収も減らしてゆく(現役世代の負担も減る)のが現実的だろう。

次の図の通り、今後高齢化するのは都市部であって、多くの自治体では人口の自然減が急速に進み、高齢化すらしなくなる。30年後は、都市部には高齢者が働く場が幾らでも確保され、現在生じている人口の高齢化の問題とは、全く様相が異なることが予測される。

2040年県別人口比

公的年金を廃止すると、いまの団塊ジュニア世代以下は、公的年金を払ってきたのに年を取った時に貰えず、それこそ世代間の不公平ではないか、という議論があるだろうが、そもそも維持不可能とわかっている制度を継続することに問題があったのであり、支払ってきた公的年金は、ある種の「サンクコスト」として諦めるしかない。40代以下が過去に払ってきた公的年金など、団塊世代より上の親世代や祖父母世代を養うための税金に過ぎない。将来に帰ってくると考えること自体が間違っているのだ。

団塊ジュニア世代が生まれたのは1970年代。高度成長期は既に終わっており、生活もそれなりに豊かになるなかで、少年期にバブル経済に踊らされている親世代を冷めた目で見ながら、リクルート事件、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件などを見てきた。成人するとバブルが崩壊し、大企業や銀行の倒産を普通に見てきた。この世代は、尾崎豊の「卒業」を共有する世代でもある。義務教育を終えたころから、もともと政府など信用していないはずだ。

団塊世代の高齢化と団塊ジュニア世代の高齢化は、全く様相が異なる。年を取る、ということの捉え方も全く異なるであろう。いまの制度を前提に、「世代間の不公平」などを議論しても、金銭的な損得以外は何も議論できない。幼少期と青年期で貨幣価値が10倍違い、世の中に出回っているモノも全く異なっていた団塊世代と、幼少期と青年期で買う物があまり変わらず、幼少期からテレビゲームで遊んでいた団塊ジュニア世代とを、同列に比較することがそもそも間違いである。

いま必要なのは、公的年金を縮小廃止し、全て生活保護に徐々に切り換えた場合に、財政負担が何年目にどのくらい異なるか、のシミュレーションであり、公的年金と税をどのように統合するか、という制度設計ではないだろうか。

伊東 良平
一級建築士/不動産鑑定士
(40代の小市民)

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