金大中氏の“太陽政策"誕生の由来 --- 長谷川 良

2014年12月01日 11:24

韓国聯合ニュースでハンガリーのオルバン首相が訪韓中だと知った時、韓国とハンガリー両国の歴史的な関係を思い出した。韓国とハンガリーは今年で国交正常化25周年を迎えた。

聯合ニュースによると、韓国の朴槿恵大統領は11月28日、青瓦台でハンガリーのオルバン首相と会談し、両国のパートナーシップ強化や協力拡大を盛り込んだ共同声明を発表した。同大統領は「ハンガリーは旧東欧圏諸国のうち、韓国と最初に国交を正常化し、北方外交政策を進展させる重要な役割を果たした」と評価。「朝鮮半島の平和統一の道を切り開くためのパートナーになってほしい」と述べたという。


ハンガリーは旧ソ連・東欧諸国で一番早く韓国と国交を締結し、1988年のソウル五輪大会では東欧諸国の中でいち早く五輪参加を発表した。ハンガリーの五輪参加表明はソウル五輪を当時、史上最大の夏季五輪大会にする大きな原動力となったことは周知の事実だ。

旧ソ連・東欧諸国はモスクワ大会(1980年)の報復としてソウル五輪大会ボイコットすら考えていた。その時、ハンガリーはソウル五輪大会に参加すると宣言し、それを受け、他の共産圏も次々と参加を決定したわけだ。韓国民族はハンガリーの当時の勇断に感謝しなければならない。

ハンガリーが1989年、韓国と国交を締結したことに反発した北朝鮮はブタペストの同国大使館を閉鎖し、当時駐在していた金平日大使(故金正日労働党総書記の異母弟)を帰国させるなど、ハンガリーとの関係は急速に悪化していった。ちなみに、駐ハンガリー担当の北朝鮮大使は今日、駐オーストリアの金光燮大使(金正恩第1書記の義理の叔父)が兼任している。

当方はブタペストのホテルで故金大中大統領と出会った。当時野党指導者だった金大中氏は韓国政治家として初めてハンガリーを訪問中だった。当方は、杖をつきながらホテル入りした金大中氏とショート会見をした。同氏が共産圏のハンガリーの開国政策に強く感動していたのを覚えている。

故金大中氏はその後、韓国大統領(1998~2003年)に選出され、対北融和政策(通称「太陽政策」)を展開していったが、ブタペスト訪問は同氏に消すことができないインパクトを与えたはずだ。当方は、金大中氏が太陽政策のアイデアをブタペスト訪問の時、得たのではないか、と勝手に推測している。

金大中氏は共産政権下のハンガリーで民主改革が起きたのならば、北朝鮮でも将来、民主化は必ず起きると確信したはずだ。それほど、ブタペスト訪問は南北分断の地からきた野党指導者・金大中氏にとって衝撃的な体験だったはずだ。

なお、ハンガリー人は欧州でも数少ないアジア系のマジャール民族だ。日本人、韓国人と同様、蒙古班民族だ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年12月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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