「菅直人の呪い」から覚めるとき

2015年02月28日 14:18

ゆうべの朝まで生テレビでは、意外にも「原発再稼動のルールを決めるべきだ」という点で嘉田由紀子氏と私の意見が一致した。今は2011年5月に菅首相が超法規的な「お願い」で止めたまま、なし崩しに全国の原発が2年半も止まっている。法治国家として、こんな状態でいいのか。


本来は2012年の原子炉等規制法の改正で停止命令の要件を決めるべきだったが、民主党政権が曖昧にしたため、活断層までバックフィット(遡及適用)の対象になってしまった。炉規制法の改正が無理でも、原子力規制委員会規則で緊急停止命令についてのルールを決めるべきだ。

たとえばフランスの原子力の透明性及び安全に関する法律(TSN法)第29条のⅣでは、次のように定めている。

原子力安全担当各大臣は、重大なリスクの解消に適した措置を実施するために必要な期間、その施設の運転を中断することを命じることができる[…]。重大かつ差し迫ったリスクがある場合、原子力安全機関は暫定的な保全措置として施設の運転を中断する

これは福島第一の電源喪失のような重大なリスクが判明した場合には、他の原発も運転を中断してバックフィットを命じる規定だ。「重大かつ差し迫ったリスク」の具体的な内容は別途定められ、電力会社は異議を申し立てることもできる。

日本では、このような緊急性の高いリスクと中長期の安全性向上を区別せず、すべての規制基準をクリアしないと再稼動できない(と田中委員長が私的なメモで決めた)ため、川内原発では規制委員会が竜巻対策まで網羅した工事認可に3万ページの書類を要求し、審査はいつ終わるとも知れない。

川内は最初だからやむをえないとして、次の高浜からはまず法的な停止命令を出し、重大かつ差し迫ったリスクの安全審査を優先して行なうべきだ(今でも核燃料は炉内にある)。それ以外の竜巻対策などは「バックアップ対策」に分類し、運転と並行して審査すればいい。

ゆうべの番組で反原発派も認めたように、いま原発が止まっている状態には法的根拠がない。もう事故から4年たつのだから、安倍政権も「菅直人の呪い」から覚め、ルールにもとづいて原発を正常化してはどうだろうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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