韓国と手を切る戦略 --- 井本 省吾

2015年03月15日 13:49

「誅韓論」(普遊舎)という本を読んだ。昨年8月発刊の対韓国戦略を書いた本だ。著者は日本戦略ブレインという研究者グループ。匿名とあってか、表現、主張は過激である。以下の各章の見出しを見るだけで察しがつくだろう。


「狂気のテロ国家・韓国への対策が急務だ」(まえがき)、「韓国はすでに対日非正規戦を始めた現役テロ国家だ!」(第一章)、「極東大激変!米軍撤退後、韓国は中韓同盟へと向かう!」(第二章)、「韓国の企む日米関係の破壊・中国の使嗾・対日攻撃」(第三章)、「韓国『防波堤神話』の崩壊!これまでの常識は大間違いだ!」(第四章)、「中韓一体化の流れが始まった!黒幕中国の深慮遠謀とは!?」(第五章)。

以上で、大体のストーリーがわかろう。締めくくりとしての対韓対策はこうだ。

「見えてきた日本の選択!極東の原状回復戦略」(第六章)、「これが日本を守る『誅韓アクションプラン』だ!」(第七章)。

「誅韓アクションプラン」では対韓戦争のプランまで用意しており、ちょっとついていけない。だが、福澤諭吉の「脱亜論」を評価する私としては、納得できる分析、提言も少なくない。

韓国批判を展開する安全保障論者でも、「独裁国家・中国に韓国が飲み込まれたり、核兵器を持つ北朝鮮と統一されるのは日本にとって危険だ。日本は自由・民主国家としての韓国を支援し、提携を密にしなければならない」という主張が強い。

韓国は中国・北朝鮮の脅威を防止するため、日本にとり重要だとする「韓国防波堤」論だ。米国もそれを望んでいる。慰安婦問題などで「韓国に譲歩せよ」と日本に迫るのもそのためで、日米同盟の維持のためにも韓国との協調を重視する保守派は数多い。

だが、本書の著者は「それは間違いだ」と歴史的な経緯を踏まえて、日本は朝鮮半島との関係を絶つべきだと主張する。

明治時代、清国の支配が朝鮮に及ぶことが日本の致命的な脅威となるという誤った安全保障観を日本政府が持ったために、日本軍は朝鮮に進出してしまう。日清戦争に勝利したのはいいが、事大主義の韓国はロシアにもなびくなど日本への危険は去らない。日露戦争に踏み込み、これも勝ったものの、朝鮮経営に深く入り込むこととなり、その財政投入は日本財政の屋台骨を揺るがす規模に膨張してしまった。その後は満州に進入、さらに中国とのシナ事変へと広がってしまう。これは失敗だったという著書の指摘は頷けよう。

では、当時の朝鮮半島情勢を無視し、日清、日露戦争もしなければ良かったのか。それでロシアの脅威を防止でき、日本の安全は保たれただろうか、となると肯定できる自信はない。

だが、朝鮮半島や中国大陸とは経済・文化交流にとどめ、軍事的には関わらなくても、いや関わらなかった方が平和と経済成長を実現できたかも知れないとも思う。

奈良、平安の昔から今日の歴史を振り返れば、日本は中国大陸や朝鮮半島とは経済・文化関係にとどまり、軍事はもとより外交的にも浅い関係にあったときの方が平穏だったからだ。鎖国していた江戸時代など典型的である。当時も外交関係はゼロに近かったが、貿易や文化交流はいろいろあった。

話を現代に戻すと米軍は今、韓国からの撤退を考えている。早ければ今年末に撤退する。実際はもっと先に延期される模様だが、孤立主義に傾く米国はいずれ韓国から撤退する。その結果、韓国が中国の傘下に入ることをも米国は考慮していると、本書の筆者は考えているようだ。

私はそれほど簡単ではないと思う。米国は韓国に最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を強く求めており、韓国が(中国側ではなく)軍事的に米国側にとどまるよう圧力をかけている。つまり、米地上軍の配備はなくしても、やすやすとは中国には韓国を渡さない。「日本もこれに協力し韓国と仲良くしろ」というのが米国のスタンスだ。

ただ、それでも日本は韓国とは手を切った方がいい、というのが本書の立場だ。中国に韓国が飲み込まれても日本には脅威にはならない。中国はさらに日本にまで攻め込んでくることはないと読む。

ちょっと楽観的だと思うが、韓国との関係は極力薄くした方がいいとは思う。米国と日本の保守派の多くは日米韓同盟で、中国の脅威を防ぐという考え方だが、日米同盟で中国(それも韓国を支配下に置いた中国)と対峙する関係で十分だと思われる。

中国は韓国を傘下に置いて強くなるどころか、政治的、軍事的、文化的、そして経済的にもお荷物になる公算の方が大きく、日本(と日米同盟)にとってはプラスの方が多いのではないか。

韓国との貿易、経済交流は激減するだろうが、本書の筆者も指摘するように、それで日本経済へのマイナスはほとんどないだろう。日本は電機、自動車、産業機械などの重要部品を韓国に輸出し、製品を買っている関係であり、韓国がいなくなっても需要先はいくらでもあるし、韓国の製品も他国からの代替が利く。

本書の著者は韓国とは手を切るどころか、「積極的に中国側に追いやれ」と主張するほど過激だが、韓国経済が苦境に立とうとも一切、助けない方が賢明だとの主張には納得感がある。

助けても、「日本は自分のことを考えているだけ」「むしろ韓国は損をした」「悪い技術を渡され、迷惑した。迷惑料を支払え」などと、あることない事言いふらし、絡んでこられる可能性が高いからだ。

本書にも紹介されている筑波大学の古田博司教授は「助けない、教えない、関わらない」の「非韓三原則」を提唱している。以前の私はそう思わなかったが、最近の韓国の非礼、無原則的な行動を見ると、「非韓三原則」と「脱亜論」に傾かざるを得ない。本書は過激だが、学ぶ点は多かった。


編集部より:この記事は井本省吾氏のブログ「鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌」2015年3月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった井本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌をご覧ください。


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