ピケティの『21世紀の資本』を「45秒」で理解する --- 杉山 崇

2015年03月18日 11:42

ピケティ教授の格差論,熱い議論を世界で巻き起こしていますね。

今日はピケティ教授の理論を一瞬で理解できる解説、名づけて「瞬説!」でご紹介します。

さらに、教授が見落としている(またはあまり重視していない?)問題点をご紹介して21世紀の私たちの生き方を考えたいと思います。

知的に生きたいあなたは必見です。


さて、ピケティ教授の格差論のポイントを瞬説するなら、話は簡単です。

「資本家の不労所得のほうが、労働者の勤労所得より高いので、資本家はどんどん金持ちになります」

ということです。

なぜこうなるかといいますと、社会は資本家が設計しました。

当然ながら、自分たちに富が集まるように作ったわけです。

ピケティ教授はこのことを

資本収益率、すなわち働かなくても資本家に入ってくる収益の伸び率を「r」、

経済成長率、すなわち労働者が働いてもらえるお金の伸び率を「g」、

として

「r>g」

という不等式で表現し、膨大なデータから証明しました。

資本は相続されるので「r」を享受できる富裕層はどんどん豊かになります。

そして、才能と努力でのし上がれるを謳う「アメリカンドリーム」と、「資本主義は格差縮小に向かう」と謳ったクズネッツの仮説を否定しました。

もちろん、特別な個別事例としては「アメリカンドリーム」は今でもあるでしょう。

ただ全体的なデータとしては、資本を持たざる労働者はのし上がれるどころか、資本家との格差が開く一方なのです。

さて、ここまで30秒で読めたでしょうか?

ここまで理解できれば、ピケティ教授の業績の核心は理解したも同然です。

さてさて、この理論を理解できたとしても、社会はすでに設計されていて、私たちはその中で暮らしています。

私たち労働者には何ができるのでしょうか。

次は15秒でピケティ教授の提案とその問題点をご紹介します。

ピケティ教授は富裕層に高い税金をかけることで、所得再分配を促して格差の縮小を謳います。

社会を壊して作りなおすには革命か戦争しかありません。しかし、多くの血が流れます。

そこで、社会はそのままに格差を是正しようとしたら富裕層への課税ということになるわけですね。

ですが、この提案は単に資本家の富を政府に移すだけなんです。

政府が金持ちになって政治家と官僚の権限が強くなるだけなんですよね…。

労働者に再分配と言っても、一律再分配では勤労意欲を削ぐだけです。

資本主義のメリットである労働者の「やる気」の確保が失われます。

私は労働者が努力して、富裕層がお金を使いたくなる付加価値の高い労働を作り出したほうが良いと思います。

労働の対価として富が労働者に移行するほうが、政府主導の再分配より健全ではないでしょうか。

言い換えれば、労働者が、自分たちなりに社会を再設計して富が自分たちに回ってくるように努力すればよいのです。

かつて資本家たちがやったみたいに。

普通に使われている言葉で言い換えれば「ビジネスモデル」を作ることです。

たとえば、従業員が自分で付加価値を考えながらコンサルティング営業を行うというキーエンスという企業の事例もあります。

さあ、労働者のみなさん、付加価値の高い労働を考えましょう。

そして、資本家の富をこちらに回していただきましょう。

私は心理学者なので、付加価値の高い心理学をこれからも探して行きたいと思います。

おっとっと…すみません!

ついつい熱くなって15秒を超えてしまいましたね。

ですが、あなたにも、あなたの労働に高い付加価値をつける「ビジネスモデル」が見つかることを願っています。

それでは、あなたの成功を祈って!

神奈川大学教授・臨床心理士
日本心理学会代議員
杉山 崇

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